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eディテーリングはMR(医薬情報担当者)の敵か味方か? 後編

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[ 2013年06月20日(木) ]

eディテーリングはMR(医薬情報担当者)の敵か味方か?前回はeディテーリングの導入が各社で本格化している、というお話をしました。多くの企業では、MRをサポートするツールの1つとして普及。その一方で、日本イーライリリーでは社内の全ディテーリングの過半数をeディテーリングが占めるようになり、バイエル製薬やアストラゼネカでは、一部部門で、eディテーリングを駆使することで“MRゼロ”の体制を実現している、というお話でした。

このまま行くと、「MRが要らない時代が来てしまうのではないか」という不安がよぎります。が、どんなにeプロモーションが普及したとしても、MRが不要になることはおそらくないでしょう。

なぜなら、ご紹介したバイエル製薬・アストラゼネカのような取り組みは、いずれもエスタブリッシュ製品のプロモーションでのお話です。ファイザーでも、今年3月に行った記者会見において、エスタブリッシュ医薬品事業部門長が「MRとeディテーリングの“ミックス”を検討している」と表明する一幕がありました。

もともと知名度もあり、効果・効能も知れた長期収載品は、MRの人件費を掛けずとも、eディテーリングでじゅうぶん代用できる可能性が高いものでした。企業がeディテーリングを導入する背景には、「MRには、MRにしかできない重要度の高いシーンで活躍してもらいたい」という想いがあります。

eディテーリングは、面会時間の取れない医師や、効率的に情報を収集したい医師にこそ有効であるものの、MRのような「新たに薬を採用させる力・勢い」は持ち合わせていません。

特許切れによる売上の減退と新薬開発に悩む企業にとって、薬価引き下げやジェネリック推進の影響で伸び悩む長期収載品には、そもそも人的コストをあまりかけたくないというのが本音です。それよりも、より収益性の高い新薬や営業強化したい商品に、MRを集中させたい。そのために、eディテーリングを導入しているケースが多いのです。

機械でもできることを機械に任せ、人は人にしかできないことをする。機械化が進む産業界において、こうした話はさほど珍しいことではありません。製薬業界は、面会禁止令により医師との対面時間が減少傾向にあり、新薬の矢継ぎ早なリリースも難しい時期。今後もeディテーリングに限らず「限られた商品をより効率的にプロモーションする方法」「MRに依存しすぎない販売体制」は、今後も生み出されていくことでしょう。

ある企業の人事担当者は語ります。「eの導入は選択と集中です。組織の効率化という意味では、CROのような存在と考え方はある種、似ています。例えば、優秀なMRに対しては『この人にはもっと重要な仕事を手がけてもらいたいから、eで代用する』という再配置が盛んになってくるでしょう。従って、 『MRにしかできないこと』をよく知っているMRや、高度なディテーリング力と柔軟性のあるMRは、今後さらに活躍の場面が増えていくのではないでしょうか」

 

(文・須藤 利香子)

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