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2010年問題はMR(医薬情報担当者)の転職に何をもたらすか?

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[ 2010年07月01日(木) ]

1990 年代の半ばから後半にかけてリリースされ、年間で何百~何千億もの収益を上げていたブロックバスターの数々が、こぞって特許切れを起こす、いわゆる2010年問題。

ただでさえ製薬メーカーにとって戦々恐々とする事態ですが、さらに追い打ちを掛けるニュースが、2010年4月の薬価維持特例の改定。政府は「新薬創出加算(新薬創出・適応外薬解消等促進加算)」を試験導入し、

  • 新薬は特許が切れるまで価格を据え置き
  • 特許が切れた長期収載品は速やかに後発薬へ移行するか、強制的に値下げする

という2点を打ち出した上で、「2012年までにジェネリック薬品のシェア率を30%台に底上げする」と目標を掲げました。

政府としては超高齢化社会を目前に、医療費全体を押さえつつ新薬の開発競争を加速させたいのでしょう。これが2005年の三角合併解禁から脈々と続いてきた業界再編劇にも、拍車をかけることになりました。

武田やエーザイが昨年行ったM&Aのように、魅力的なパイプラインを増やすべくメガファーマが中小規模の新薬メーカーに触手を伸ばす…長期収載品の値下がりに備えるべく新薬メーカーがジェネリックメーカーを買収する…経営力を高めるためメガファーマ同士が合併する…。大規模な買収劇が、2012年に掛けて激化していくでしょう。

2005年当時は、求人数が激減するなど、転職しにくい情勢が訪れました。では、今回も、向こう3年間は転職のチャンスが減るのでしょうか?

答えはノーです。

今回の「新薬創出加算」導入を受けて、ジェネリック開発に流れるメーカーも一部はあるでしょう。しかし、開発力のある製薬メーカーは、現代のブロックバスターを生み出すべく、よりアンメット・メディカル・ニーズを汲み取る路線へ、つまり抗がん剤やオーファン・ドラッグなどに注力していくことが予想されます。

そのため、今後は、特定の領域に深い知識を持ち、ドクターに学術的な提案を行う領域専門MR(医薬情報担当者)のニーズが高まっていくでしょう。既に希少疾患や専門領域で経験を積んでいる人はより有利な立場に行けるでしょうし、現在まだ経験のないMRも、領域専門の求人がたくさん出てくるなど、転職のチャンスが広がります。

製薬メーカーにとっても大きなターニングポイントとなる2010~2012年。MRにとっても、領域専門MRの価値の突出という、今後のキャリアを考える上で、重要な転機になることは間違いありません。

(文・須藤 利香子)

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