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ドラッグ・ラグ解消後、MR(医薬情報担当者)のトレンドは…

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[ 2010年07月15日(木) ]

今年の4月から、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」が試行導入されました。

これにより、国から要請があった製薬メーカーは、適応外薬や未承認薬の開発に取り組まざるを得なくなりました。要請を断ればペナルティ。要請を受けて開発すれば、特許期間中は薬価が値下げされないという恩恵を受けることができます。

加えて、5月には109件の未承認薬について、国内販売の準備を進めるよう各メーカーに要請。

アメリカのファイザー・オンコロジーも世界同時開発や日本のラグ解消に積極的な姿勢を示しています。日本のドラッグラグ問題にも、いよいよ改善の兆しが見え始めたように見えます。

ドラッグラグの解消が、MRにとってどのような影響を及ぼすのか。ひとつ考えられるのはMR不足です。

新薬が増加する以上「MRの数を増やせば良い」と考えがちですが、実際にはそれほど単純な問題ではありません。なぜなら、難病に強力な効果を発揮する新薬は、ニーズが高く、細密な情報提供こそ必要ですが、さほど営業をして売り込む必要がないからです。

MR界に与える本当の影響は、MRの専門化ではないでしょうか。

近年、サリドマイドが再販されるというニュースが駆け巡りました。半世紀前、副作用により多くの奇形児を誕生させるなど重篤な薬害を生んだ薬が、ハンセン病の治療薬としてアメリカで認められたのです。これを受けた国内ハンセン病患者らの求めにより、厳しい議論の末、日本でも「条件付き」で承認に至ったのです。

政府がドラッグラグ解消に本腰を入れたことで、患者の要望は今まで以上に通りやすくなるでしょう。もしも、サリドマイドのように、安全性が確証されないまま条件付きで承認される新薬が、増えてきたとしたら?

C型肝炎やエイズなどの薬害問題に対し、医療現場は言うまでもなく過敏になっていますから、医師からは副作用・リスクなどについて、かなり専門的な質問や要望が寄せられるでしょう。

MRは、それらに対して的確な回答を行うことはもちろん、本当に力を入れなければならないのは、リリース後の副作用調査です。かつて「薬の営業職」と言われていた時代は終わり、情報提供者としてのMRの専門化がいっそう進んでいくことが予想されます。

知識と見識によって医師から信頼される“専門職としてのMRが求められる時代になった”。そんな所感を改めて抱く出来事でした。

(文・須藤 利香子)

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