患者数は少ないながらも、そのビジネスチャンスから各社が続々と参入するオーファンドラッグ。前回お伝えした通り、オーファンドラッグのマーケットは、まさにブロックバスターを失った製薬企業の今後を占う重要な場となりそうです。
周知の通り、開発が活性化し新薬が出れば、MRのポジションはたくさん生まれます。ところが、オーファンドラッグの場合、案外そうとも言えないかもしれません。
今年の4月にアクテリオンが製造販売承認を得た「ミグルスタット」がターゲットとするニーマン・ピック病C型は、患者数が20人。シミックホールディングスとメディバルホールディングスが合弁で立ち上げたオーファンパシフィックの急性ポリフィリン治療薬「ヒトヘミン」の患者数は、数十名程度。しかも、かつその人たちが発作を起こしたときのみに使用される薬です。
こうした患者数の少なさから、オーファンではMRを使ったプロモーションがむしろ非効率と見る企業も出てきています。今後、製薬企業の主戦場がオーファンドラッグに移り、新薬が続々と発表されたら、MRのポジションはどうなってしまうのでしょうか。
『Yakugyo Jiho2012.5.25号』では、確かにオーファンパシフィックが「MRなど人を介した情報提供よりもwebサイトを利用した方が良い」「コスト面でもMRを使うより効率的」と、MRを使わない、webサイトメインのプロモーション体制を構築していることが紹介されていました。
ですがその一方で、「患者数が少ないからこそ、MRが必要」と考える企業も少なくはありません。
前回、100名規模のMR部隊を新設したとお伝えしたファイザー。その理由は、
・希少疾患ゆえの医師の診察の難しさを助けること
・医師だけでなく看護師にも希少疾患の啓蒙活動を行うこと
・症例数の少ないオーファンドラッグの市販後調査を行うこと
など、従来のMR活動にとどまらない、専門的な業務にあたるためだといいます。
それは一体どういうことなのでしょうか。次回、詳しくお話しします。
(文・須藤 利香子)
MR BiZで現在、アクテリオン・ファーマシューティカルズ・ジャパンがオーファンドラッグの求人を募集中(2012年6月現在)