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MR(医薬情報担当者)とオーファンドラッグ(希少性疾病用医薬品) その1.参入したメガファーマの今

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[ 2012年05月31日(木) ]

オーファンドラッグ2010年の記事でお伝えした、メガファーマのオーファンドラッグ参入。

そもそもオーファンドラッグとは、メーカーが薬を作ろうにも、ターゲットが少なすぎて採算が取りにくい、希少性の疾病を対象とした薬のこと。患者数5万人未満(アメリカでは20万人未満)の有用な薬には、国が希少疾病用医薬品(=オーファンドラッグ)指定をし、助成金の支給や優遇措置をとることで、薬が開発されにくい状況を作らないようにしています。

その特性から、希少性疾患を対象とした分野は、これまでスペシャリティファーマが取り組むニッチ産業という色合いが濃かったものの、2010年頃から一転。メガファーマが続々参入するようになりました。その理由は、1つはもちろん社会貢献。もう1つは、以前の記事でもご紹介した通り、ブロックバスターを失ったメーカーの生き残り策の1つです。

メーカーにとって、1つひとつの薬の患者数は少ないものの、疾患ごとの競合が少なく、かつ確実に需要のある堅実さがオーファンドラッグの魅力。メガファーマの持つ開発力を活かし、ラインナップを増やしていくことで、ニッチトップの集合体を作り上げ、安定的な収益を得たいという狙いがあります。

あれから2年。各社のオーファンドラッグの取り組みはどうなったのでしょうか。

2010年6月にオーファンドラッグの研究部門をアメリカに設置したファイザー。現在は、100人以上のMRを希少疾病領域に投入し、希少性疾病事業統括部を立ち上げています。

2010年、英国にオーファンドラッグの開発に特化したビジネスユニットを新設したグラクソ・スミスクラインは、その二ヶ月後に日本でも希少性疾患医薬品開発センターを立ち上げ、世界で発売されるオーファンドラッグを円滑に国内供給することに努めています。

こうした取り組みについて、『薬業時報2012.5.25号』では「外資系を中心とした製薬企業が相次いでオーファンドラッグの開発を加速させ」「ポスト・ブロックバスターの布石を打」っている、と紹介されています。

実際、その中でも紹介されている通り、ジョンソン&ジョンソン/メルクのレミケード(81億ドル)、ロシュの『リツキサン』(66億ドル)、ノバルティスの『グリベック』(46億ドル)など、オーファンドラッグの売上上位品目に着目すると、希少疾患とはいえ大きな利益を生んでいることがわかります。

2011年に米国FDAが承認した新規成分新薬の実に40%近くがオーファン指定を受けていることも、付け加えておくべきかもしれません。今や多くのメガファーマが“最後の安定市場”として注力するオーファンドラッグの分野。しかし、この領域が果たしてMRにとっても安定市場と言えるのでしょうか。

ニーズが明確で競合との競争も少ないこの領域で、果たしてMRはどのような意義・目的のもとに活動を進めていくべきなのでしょうか。オーファンドラッグMRに求められることとは? 次回、詳しくお話しします。

(文・須藤 利香子)

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