当コラムでも1月にご紹介したように、今後10年でMR数は2割に削減されると見通されています。
国内のMR(医薬情報担当者)数は今後10年間で2割削減される?
世界的に人員削減が進む昨今。ですが、必ずしもその流れは全社に共通したものとは言えないようです。
流れに逆行するのは、アメリカに本社を構える世界10位の製薬企業・日本イーライリリー。同社では、2020年に国内売上高トップ10入りを標榜(現在は国内16位)し、2014年から15年にかけてMRを約200人増員。1880人体制を築き上げ、他社がパテントクリフに苦しむこの10年間でMR数を3倍近くに伸ばしました。
4月9日の日刊薬業によると、日本イーライリリーの2014年の国内業績は、
「売上高は2105億円(前年比7%増、決算ベースに他社からのアライアンス売上を加えた数字)となり、初めて2000億円の大台に乗せた。」
同誌によると、日本イーライリリーの14年の主力品売上高は次のようになっています。
- 『ジプレキサ』599億円(4.1%、薬価ベース)
- 『フォルテオ』480億円(23.3%増)
- 『アリムタ』370億円(5.4%増)
- 『エビスタ』205億円(0.2%減)
- 『サインバルタ』179億円(16.1%)
- インスリン群174億円(0.6%増)
- 『ストラテラ』139億円(43.3%増)
- 『ヒューマトロープ』101億円(2.2%減)
- 『ジェムザール』61億円(31.1%減)
ジェムザールは後発品の参入で落ち込んだものの、フォルテオとストラテラが大きく増進。さらに今年はSGLT-2阻害剤「ジャディアンス」、VEGF受容体2モノクローナル抗体「サイラムザ」、GLP-1受容体作動薬「デュラグルチド」など、合計5件の上市(新薬承認・適応拡大)を予定。加えて創薬ターゲットの研究を行う国内の大学と提携し、新薬の共同研究を進めるなど、2020年のトップ10入りはかなり現実味を増している格好です。
躍進と共に、同社のMR数増員は今後も予定されています。また、増員と並行して女性管理職の登用やダイバーシティにも取り組みを強化すると言われており、転職を検討されているMR(医薬情報担当者)の方は、今後の同社の動向に注目したいところですね。
(文・栗山 鈴奈)