あけましておめでとうございます。本年もMR BiZをよろしくお願い致します。
年が明け、各社から年頭所感が発表される中、厚生労働省がMR(医薬情報担当者)の販売活動監視のために研究班を新設することが報じられました。
もともと厚生労働省では、2016年度から、MRの不適切な情報提供の事例報告を受け付ける事業を行っています。「医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」という名の通り、当初は予め選定した一部のモニター医療機関のみを対象としていました。ですが、昨年10月にモニターだけに留まらない、全国の病院・診療所・保険薬局へと対象を広げ、MR活動に加えて広告や誌面、ウェブサイト上の表現も監視する「販売情報提供活動監視事業」として新たなスタートを切りました。
今回報じられたのは、この「販売情報提供活動監視事業」で全国から集まった報告を元に、同事業をより普及・向上させるための研究チームの設立です。
医薬情報の不適切な提供は決して許されるものではありませんが、気になるのは過剰な監視がMR活動を萎縮させてしまわないか、という点です。実際に報告のあった事例を以下で読むことができますが、深刻度はかなりまちまちといえるでしょう。
「厚生労働省 医療用医薬品の広告活動監視モニター事業報告書」
ドクターは、この「販売情報提供活動監視事業」をどう思っているのでしょうか。日経メディカルの調査によれば、「販売情報提供活動監視事業」に不適切事例を積極的に報告したいと答えた医師は、4039人中287人(7.1%)にとどまり、「かなり問題のある事例は報告する」が1732人(42.9%)、「関心がない」が2020人(50.0%)という結果になりました。(出典:日経メディカル 「2019/10/28 医師4039人に聞いた『MRの情報提供を監視する?』MRの監視・報告には『関心がない』」)
医師の中には、規制が強化されることでMRの情報提供の質が逆に低下してしまうのではと危惧する声も。リスクを恐れ、定められた内容をただ読み上げるだけでは、MRの存在意義も問われる自体となりそうです。何かと「萎縮社会」が話題になりがちな昨今。同事業の慎重な運用を願ってやみません。