2013年11月に成立した再生医療等安全性確保法と改正薬事法。かねてから1年以内にというお話でしたが、ついに今年の11月から施行されますね。
再生医療等安全性確保法は、再生医療を安全に行うためのルール。医療提供者の措置とともに、特定細胞加工物の製造許可制度などが定められています。一方、改正薬事法は、再生医療製品を開発する際の規正を定め、承認手続きを簡素化するもの。iPS細胞(人工多能性幹細胞)を初めとした再生医療の普及を後押しする法律が整ったことになりますが、これを受けて国内の製薬企業も続々と再生医療分野に注力を始めています。
大日本住友製薬はiPS細胞を活用した医薬品開発を行うべく今年2月にベンチャー企業と合弁で設立したサイレジェンにさらなる増資を決定。アステラス製薬も、社内に再生医療ユニットを設立し、再生医療のノウハウ蓄積を目指している模様。msnニュース等が報じています。
再生医療は日本政府から成長戦略の一環として期待を寄せられている分野。製薬企業各社としても、ブロックバスターを欠くパテントクリフが続く今、開発費の高騰と薬剤費への締め付けが激しい低分子医薬品に替わるものとして、再生医療等製品の可能性に期待を寄せています。
さらに先日のmsnニュースではこんな記事も紹介されていました。
三井住友海上火災保険など損害保険大手が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使う再生医療の臨床研究向けの保険を11月にも投入することが16 日、分かった。治療で健康被害が生じた場合などに医療研究機関が患者へ支払う補償金を保険でカバーする。患者だけでなく医師らも医療リスクに備えることが できるようになり、日本が先行する再生医療研究を後押しすると期待される。
再生医療の国内市場規模について、経済産業省は平成42年に1.6兆円と、18年間でおよそ60倍の拡大を見込んでいます。一見すると途方もない数字ですが、このように業界の動きが着々と活発化していっているのは、心強いものがありますね。再生医療専門のMR(医薬情報担当者)チームが最初にできるのは、果たしてどの企業になるのでしょうか。
(文・栗山 鈴奈)