先日、『製薬メーカー・CSO最新動向 製薬・医薬品業界 最新業界地図』の内容を更新しました(最新2013年版の情報はこちら)。
そこではあまり触れられませんでしたが、7月25日と8月23日のコラムに書いたとおり、昨年に引き続き、国内のジェネリック市場が活性化している点は、見逃せないところです。
いよいよ本格化したジェネリック普及策により、大病院がコスト削減のために院内で使用する薬剤をジェネリックに置き換える動きがあったのは、お伝えした通り。それにも増してインパクトがあるのは、国内後発品市場における外資系企業の存在感が急激に高まってきていることです。
経口剤に本格的に力を入れ始めたノバルティスグループのサンド。売上161億ドルを誇るジェネリック最大手のテバが日本国内の子会社2社を合併させ発足したテバ製薬。そして8月末には、ファイザーが、ジェネリック世界3位のマイラン製薬と業務提携を結んだことが発表されました。
ファイザーといえば、言わずもがなの知名度を誇る最大手の製薬企業。ところが、ジェネリックの分野では、本格参入こそ衝撃ニュースとして世論を沸かせましたが、思うように商品数を伸ばすことができず、苦戦を強いられていました。
一方マイラン製薬は、開発力こそあるものの、思うようにMR数を増やせないことに加え、短期間のうちに社長が連続して替わるなど、経営面に懸念がありました。
今回の提携により、医薬品売上高で世界1位に輝く販売力とマーケティング力を持つファイザーは、350もの製品ラインナップを実現。「2015年までに100~200成分以上」としていた目標を即時クリアし、8月23日の記者会見では「日本でトップクラスの事業展開ができる時期がかなり早まりそうだ」と自信をにじませました。
とはいえ、活気があるのは国内メーカーも同様。「2012年版MR白書」によれば、国内のMR総数は前年より2629人増となり、その一因を担ったのが、ジェネリックMRの増加だと言います。『Yakugyo jiho2012.9.10』の記事の中でも、沢井製薬や東和薬品、共和薬品工業といったジェネリックメーカーがこぞって増員傾向にあると書かれていましたが、新薬開発が高止まり状態にある中、後発品市場の戦いはますます熾烈化するものと言えそうです。
そうなれば、引き続き各社共に増員傾向が予想されますが、シェア拡大の鍵を握るのはまさしくMR。各企業が限られたMR(医薬情報担当者)を取り合う格好になり、以前よりも好条件で転職ができるチャンスかもしれません。
(文・須藤 利香子)