武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共の3社が、2020年3月期の業績見通しをそろって上方修正しました。第一三共ではエドキサバン、アステラスではイクスタンジとイベニティといった主力商品の好調が目立ちますが、武田薬品ではコスト削減の効果も大きいと言われています。
武田はアイルランド製薬大手シャイアーの買収以降進める拠点やシステムの統合効果を予想に織り込み、本業のもうけを示す「コア営業利益」を2倍の9300億円と200億円上乗せした。(日本経済新聞2019/10/31)
さらにこのほど、武田薬品では、薬の製造工程を原料投入から完成までをひとつのパイプで完結させる、食品・石油化学製品型の手法を導入することが報じられました。
医薬品は鉄鋼や食品などと比べると構造が複雑で、化学反応をいくつも経なければならない。常に同じ品質になるように厳しい生産管理も求められる。技術や設備の課題を長く乗り越えることができなかったが、近年になって化学反応についての研究が進み、生産機器も進歩を遂げた。(日本経済新聞2019/11/5朝刊)
技術革新が進んだことで、ヤンセンファーマやイーライ・リリーといった外資系製薬メーカーが実用化。武田薬品をはじめ、国内勢の間でも導入に至った次第です。
変革が実を結び始めた製薬メーカー各社。今後も効率化のメスは技術の進歩とともにいっそう鋭くなることが予想されます。営業部門では、先日はエム・シー・アイからリモートディテーリングが可能な次世代型Web接客ツール「SENSE」が発表されたばかりですが、こちらはMR(医薬情報担当者)の削減トレンドにどう影響を与えるのでしょうか。引き続き目が離せません。
(文・栗山 鈴奈)