皆さんはスマートフォンをお使いですか? 中には会社から貸与されている方もいらっしゃるのではないかと思います。
ここ最近のスマホの普及の早さは眼を見張るものがありますね。MM総研が7月7日に発表したスマートフォン市場規模の推移・予測によると、スマートフォンの契約台数は2011年3月時点で955万件であり、2012年3月末には2,598万件、2013年3月末:3,913万件…と上昇し、2015年3月末:6,137万件となる見通し。
ところがこのスマートフォンの普及によって、現代人の眼にはかつてない負担がかかると言われています。米ニューヨーク州立大学(SUNY)検眼学カレッジ教授のMark Rosenfiel氏によると、スマートフォンは本や新聞よりも眼に近づけて持ってしまう傾向があり、またフォントサイズも小さいため、「スマートフォンでのメールやウェブ閲覧がドライアイや不快感、長時間使用後のかすみ目につながる場合もある」(HealthDayジャパン2011.8.1より)。
こうした背景からかドライアイに対する市場の関心は非常に高まりを見せており、各社からはサプリメントが発売されるほか、9月30日にはアイウェアメーカーのJINSからPC用のブルーライトカット眼鏡が発売されました。
それとちょうど同じ日に、大塚製薬がドライアイの薬で製造販売承認を取得した、と報じられました。胃炎・潰瘍治療薬のムコスタ錠の有効成分・レバミピドを用いた点眼薬とのことです。
奇しくもその前日、参天製薬がフランスの製薬会社ノバガリファーマを約100億円で買収したことが発表されました。参天製薬と言えば点眼剤。その効果を向上させることのできる技術と、第III相臨床試験段階にあるドライアイ治療剤「シクロカット」(一般名:シクロスポリン)を取得することが主な目的だったといいます。
ドライアイはPCやスマートフォンといったデバイスの生んだ、現代人の新たな病。重症性のものはアンメット・メディカル・ニーズにも分類されており、内障治療薬と加齢黄斑変性症の治療薬と並んで、今後の成長分野の1つと言われています。
ここ5年で9%近く伸び、現在は約2300億円近い市場となった眼科領域。オンコロジーや中枢神経に隠れて、眼科領域もまだまだマーケットが拡大していく事が予想されています。今回のニュースも、そうした活発化する市場の一遍が垣間見えたものだったと言えるでしょう。
(文・栗山 鈴奈)