引き続き動きが活発なオンコロジー領域に、また新たなニュースが駆け巡りました。日本イーライリリーから、大型の新薬がリリースされたのです。
発売されたのは、サイラムザ点滴静注液100mg、同点滴静注液500mg(一般名: ラムシルマブ遺伝子組換え)。治癒切除ができない進行・再発胃がん治療薬で、初の血管新生阻害剤です。
がん細胞は大きくなるために、自らに栄養や酵素を運ぶ血管を増やして行く必要があります。この血管新生を阻害し、がん細胞の増殖を抑えるのがこの薬のメカニズム。がん細胞そのものを破壊する抗がん剤と組み合わせることで、兵糧攻めのように腫瘍を押さえ込むことができると言われています。
胃がんは特に日本人に多い病気で、部位別死因2位(1位は肺がん)。患者数はトップで年間132,033人(2011年日本対がん協会調べ)。早期発見され、適切な治療が行われれば100%治癒すると言われているものの、2013年のデータでは、4万8632人が胃がんで命を落としています。
このような中、発売されたサイラムザは、これから10年間かけて500億円の販売金額を見込んでいます。さらに、日刊薬業の行った単独取材によると、オンコロジー事業本部長のアレクサンダー・ホーン氏が「今後5年間で適応拡大の可能性のある複数のパイプラインを持っている(中略)国内では2016年に非小細胞肺がんと結腸・直腸がんに適応拡大したい。肝細胞がんも17年以降を予定している。胃がんのファーストラインや膀胱がんの適応でも治験を行っている」(日刊薬業第14218号)と伸べ、サイラムザを同社の癌領域を牽引する大型新薬と位置づけています。
サイラムザはアリムタ、ジェムザールに続く同社の抗がん剤の第3の柱。この発売に際して、オンコロジー領域の各社の勢力図もまた大きく変動しそうですね。
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(文・栗山 鈴奈)