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「高薬価」は製薬企業にとってもはやデメリット?

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[ 2016年09月08日(木) ]

「高薬価」は製薬企業にとってもはやデメリット?日本イーライリリーが開発した乾癬に対する新薬「トルツ」の薬価をめぐる問題が、製薬業界に波紋を広げています。

ことの経緯はこうです。

「トルツ」の薬価は、中央社会保険医療協議会の薬価算定組織が、効能・効果や薬理作用が同じ「コセンティクス」に合わせる形で算定したものの、企業側の求めもあって外国平均価格調整※というルールが適用され、最終的には「コセンティクス」に比べて1日あたりで1.7倍高い薬価に。厚生労働省は「より薬価の低い類薬の使用を優先する」使用制限を課す方針を示し、日本イーライリリーは薬価収載の申請自体を取り下げた――。

日本イーライリリーは「薬価制度に則って処方制限なく、必要な患者さんに早くトルツによる治療をお届けしたいと考え、薬価の再申請に向けて当局との協議を進めている」(8月31日ミクスOnline)とコメントしています。

製薬企業にとって薬価は、ビジネスを行う上で非常に重要な要素。ルールの中で可能な限り高い薬価を得ようとするのは当然のことです。ルールに従って算定されたにもかかわらず、類薬と比べて高いからという理由で使用制限を課されてはたまりません。ルールに則って算定 された薬価を否定するような今回の措置は、さすがにやりすぎではないでしょうか。

高額薬剤に対する風当たりは強まっています。今年4月には、予想を超えて売り上げが伸びた医薬品の薬価を最大50%引き下げる「特例拡大再算定」が導入。高額薬剤問題に火をつけた免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」は次の薬価改定を待たずに薬価を引き下げることも検討されており、厳格な適正使用を促すためのガイドラインの策定も進んでいます。

売り上げが大きくなれば叩かれ、薬価が高ければ批判を浴び、使用を制限される――。国民皆保険制度の維持を旗印に薬価への締め付けが強まる中、高い薬価を得ることは、もう製薬企業にとってはメリットにならないのかもしれません。

※外国平均価格調整…日本の薬価が、外国の薬価に比べて高くなりすぎたり、低くなりすぎたりするのを防ぐためのルール。具体的には、米英独仏4カ国の平均価格の1.25倍を上回る場合は「引き下げ」、0.75倍を下回る場合は「引き上げ」の調整が行われる。

 

(文・前田 雄樹)

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