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ファイザーによるメディベーション買収。アステラスへの影響は?

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[ 2016年08月25日(木) ]

ファイザーによるメディベーション買収。アステラスへの影響は?ファイザーがバイオ医薬品会社メディべーションを買収することが報じられました。

タックス・インバージョン(租税地変更)規制により、節税目的でのアラガン買収を断念したのが今年の4月。その1ヶ月後に米バイオ医療のアナコール・ファーマシューティカルズを52億ドル(約5700億円)で買収したのは記憶に新しいですね。

ここ半年で3回目の買収劇となる今回。買収額は140億ドル(約1兆4100億円)に上ると言われています。

これまでにもたびたびM&Aによってピンチを切り抜けてきたファイザー。今回の買収の目的は抗がん剤のラインナップ拡充にあると言われています。メディベーションには、開発中の乳がん治療薬と血液癌治療薬以外に、既に販売中の前立腺がん治療薬イクスタンジ(XTANDI。一般名エンザルタミド)があります。アメリカでは2012年に、欧州では2013年に承認された同薬。ウォールストリートジャーナルによれば「年間売上高はすでに約20億ドルに上るが、今後、この2倍以上に増加する可能性がある」とされています。

ところで気になるのは、このイクスタンジ。日本でも経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤「イクスタンジカプセル40mg」として2013年に承認された同薬は、そもそもアステラス製薬とメディベーションの共同開発製品とされているものです。既にアステラスを通じて60以上の販売国・地域で販売され、同社は2016年3月期の連結決算で純利益43%増、8期ぶりに最高益を更新しました。

そんなアステラスの主力製品は、今回の買収でどうなってしまうのでしょうか。アステラスは2009年、イクスタンジがまだ『開発コードMDV3100』と呼ばれていた頃に契約を締結し、メディベーション社に一時金を支払ってきました。実際、8月24日の日刊薬業で「イクスタンジ(の開発および販売)に関する契約変更はないと考えている。買収後も引き続きパートナーとして協働していく」というコメントが出ていましたので、契約自体には変更が入らないものと思われます。

ですが、。契約内容に変更がないとはいえ、今後の同薬剤のプロモーションをめぐる図式には果たして変化がないのでしょうか?

現在、イクスタンジのプロモーションは米国のみメディベーションとアステラスが共同で行い、それ以外の全ての地域については、アステラスが独占的開発・販売権を有しています(売上に応じてメディベーション社にはロイヤリティを支払っています)。契約通りならファイザーは米国でのみ販売権を取得することなりますが、果たして? ファイザーとアステラスがリピトールのプロモーションで組んでいた経緯を考えると、様々な憶測が飛び交いそうです。

(文・栗山 鈴奈)

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