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続く外資系製薬企業のM&A・再編と、その影に見た老舗日系企業の持つ可能性

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[ 2014年06月26日(木) ]

こんにちは。『未来図MR』続く外資系製薬企業のM&A・再編と、その影に見た老舗日系企業の持つ可能性は今回を持ちまして、通算100回となりました。いつもお読み下さっているみなさん、本当にありがとうございます。今後とも、未来図MRとMR BiZを、よろしくお願い申し上げます。

さて、世間では以前お伝えしたファイザーやメルクに続くかたちで、今度はアッヴィの買収劇が取りざたされています。同社が20日にアイルランド製薬大手シャイアーに4兆6000億円で買収提案を持ちかけていたことが明らかになりました。20日時点で交渉は破談に終わったとのことですが、今後の行方はどうなるでしょう?

アッヴィは2013年にアボット・ラボラトリーズから独立した企業。抗炎症薬『ヒュミラ』を主力とする同社は、2014年第1四半期には早くも売上5.4%増・純利益1.2%増の成績を収め、近年中に新たなC型肝炎治療薬の発売を見込むなど、ハイスピードで進化を続けています。今度の買収劇の結果次第では、希少疾患系のライン増加に加え、アイルランドの低い法人税が適用されるなど、経営にさらなる追い風が吹くことは想像に難くありません。

※ファイザーがアストラゼネカ買収時に期待していたのと同様、イギリス・アイルランドは法人税が低いことで知られます。製薬業界では、同国の企業を買収し、本部を移転することで税負担を軽減しようという動きが今後も続くと見られています。

このように外資系が淡々と買収による経営加速や立て直しを行う中、国内ではこんなニュースがありました。

森下仁丹が、胃では溶けず腸まで届くカプセル技術を用いて、経口タイプのワクチンを研究し、日本とアメリカで特許を取得するに至った。研究は神戸大学大学院医学研究科感染症センターの白川利朗准教授と共同で行われ、将来的には注射に代わるものとして製品化し、世界で販売することを目指している。エコノミックニュース2014.6.21より)

森下仁丹は、昨年で創業120年を迎えた大阪の老舗日系企業。あの銀色の丸薬『仁丹』の会社といえば、お分かりの方も多いのではないでしょうか。16種類の生薬を銀箔で包んだ口内清涼剤である仁丹は、今で言うフリスクの元祖(と言えるかもしれません)。

今回のワクチン技術を可能にしたのは、カプセルの皮膜を「髪の毛の直径3分の1」にまで薄くでき、カプセルそのものも従来品のおよそ10分の1の0.5ミリサイズにできるという驚異的な技術力。加えて耐熱性、耐酸性、耐凍性、腸溶性などにも優れているとされ、まさにカプセルの常識を覆すもののようです。

まさにこの技術こそ、継ぎ目のない銀箔コーティング技術が、100年以上の歴史の中でよりいっそう磨かれた成果とも呼ぶべきもの。森下仁丹は、現在300名弱の従業員を抱えていますが、創業以来120年もの間、他社との合併もなく自社の文化を守り続けてきました。そのような、ある種閉鎖的な環境だからこそ、独自の技術力を磨き続けることができたのかもしれません。

日系企業は、先に上げたような外資系大手に比べ、M&A戦術がまだまだだと指摘されがちです。しかし、日本は昔から『職人の国』と呼ばれてきた国。今回の森下仁丹のワクチン技術は、「注射に比べて、輸送や管理にも便利であるため、コストを安価に抑えられることが予想され、貧困国にも安全なワクチンを多く提供することができるようになるかもしれない(同エコノミックニュース)」とされ、爆発的なニーズを生むことが予想されます。

「既にあるもの」を買収して手に入れるより、「今だ実現していない技術を生み出していく」こと。日本には、まだまだその力があると思わせる、明るいニュースだったと思います。

 

(文・栗山 鈴奈)

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