院内関係者への製品説明会にあたって使用するパワーポイントの多くは、本社プロダクト担当が作成するものだと思います。
プロモーション資材としてプロモーションコードを遵守した内容になっているはずで、MRが勝手に作り変えることは、本来好ましいことではありません。
しかし、資材の内容がどうしても目の前の病院の状況等に即していない、という経験はMRなら誰にでもあるのではないでしょうか。
MRは、パワーポイントの作成についても、最低限のノウハウを知っておくべきです。
以下にそのノウハウをご紹介します。
構成の組み方(PREP法)
プレゼンテーションの学習で必ず登場するのがPREP法です。PREP法とは、基本的なプレゼンテーションの構成法です。
まず冒頭に「本日は○○の臨床成績と安全性、特に選択的な受容体結合についてご紹介せていただきます。ぜひ治療の選択肢としてご検討いただきたいと思います」のように「要点(P)」を明確に伝えます。
次に冒頭に示した要点の「根拠(R)」を示し、これによって得られる患者さんと先生の治療上の有用性を「事例(E)」として提示します。最後に、あらためて「要点と結論(P)」を伝えてクロージング。
この簡潔明瞭で結論を先行させる進行によって、聞き手の先生方にわかりやすく伝えることができます。
P(Point) 要点・結論
R(Reason) 理由・背景・根拠
E(Example)事例・仮説
P(Point) 結論の再確認
最初の「P」で先生方は話の展開が予測でき、聞きながら話を整理しやすくなります。
重要なのは「R」です。「P」で先生方に関心を持っていただいても、その根拠が乏しければ期待ハズレと思われてしまいます。ここはしっかりと準備しておきましょう。
だらだらと進行する説明会が最も嫌われます。何を言いたいのかわからない内容では、先生方にとって時間のムダです。
PREP法を意識した説明内容の構成を考えてください。
喋るスピードが速くなってしまうと説得力に欠けてしまいます。
そうならないためにも、スライド全体の構成は時間的な余裕を持たせましょう。
あれもこれも伝えたいという気持ちはわかりますが、欲張ってしまうと往々にして失敗するものです。
パワーポイントの作り方
■文字は大きく
プレゼンテーションを行う会議室の大きさにもよりますが、最後列から見ても確認できるように文字は大きめに作ります。タイトルは36ポイント以上、本文は24ポイント以上が目安です。
文章を載せることは避け、箇条書きにするなど、要点を示すことが重要です(ただし、添付文書の内容など、省略してはいけないものは除きます)。
■アニメーションは少なめに
強調するためにアニメーションを入れると効果的です。しかし、多用すると見ている方はイライラします。
■5色以内にまとめる
全体的に統一感を持たせて、5色以内にまとめるとよいでしょう。多色のスライドは、強調すべきポイントが強調されなくなります。7色を超えると全体に落ち着きのない印象となります。
デザインプレートを使用する場合は、シンプルでおとなしいものを選びます。
■コントラストと配色
色の使い方には法則があります。黒い背景に最も映える色は黄色と白色です。緑色のような中間色の背景で赤色の文字を載せると「色が溶ける」といわれ、見にくくなります。暗い背景に明るい文字を載せると大きく見え、その逆は文字が小さく見えます。