2/4は世界対がんデー。この日に合わせて世界保健機構(WHO)が報告した内容で、2015年にがんで死亡した人は世界で880万人に上ることが明らかになりました。(読売新聞『世界のがん死者、880万人…WHO報告書』)
3年前に発表された「世界がんレポート2014」の時点では、820万人と推計されており、実にこの3年間で60万人、割合にして7%増加したことになります。がんと診断される人の数は現在1400万人といわれ、2030年には2100万人に達すると予想されています。
WHOの分析によると、「死者の7割は中低所得国の人」とのことで、貧困による適切な診察・治療が受けられないことも死亡率増加の一因と考えられています。WHOでは生活習慣改善によるがん予防に加え、安価な治療法の確立・普及を提言していますが、これは先進国・日本も決して他人事ではありません。
昨年、注目を集めたオプジーボをはじめ、画期的ながん治療薬ほど薬価はどうしても上がりがち。一方、独占販売期間が切れた抗がん剤のジェネリック薬も出てきてはいるものの、その使用割合はかなり低め。「薬効別で全16医薬品中15位」という状況です。
後発品への切り替えに慎重な医師が多いこと、オペレーションの煩雑さからそもそも先発薬と後発薬の双方を取りそろえた病院が多くないことなど…理由は様々ですが、がん治療薬のジェネリック普及はまだ進んでいるとはいえません。
製薬メーカーが先行投資した開発費を回収しつつも、いかに多くの患者に必要な薬を届けるか…がん治療をめぐっては、まだまだ抜本的に解決しなければならない課題が山積していることが、改めてわかります。オンコロジー領域のMRには、よりいっそう俯瞰的な視点で、自社製品の普及だけでなく、後発薬や他社製品も含めた公正ディテーリングが求められるようになるかもしれません。
(文・栗山 鈴奈)