これまで成長を続けてきたCSO(医薬品営業受託機関)が岐路に立たされています。
日本でCSOビジネスを展開する8社が加盟する日本CSO協会のまとめによると、2017年の稼働コントラクトMR数は3515人で、前年から9.5%減少しました。09年の調査開始以来、過去最大の減り幅です。
減少の背景にあるのは、製薬企業側で進む営業体制の再編。MR認定センターのMR白書によると、国内のMR数は2013年の6万5752人をピークに3年連続で減少しており、2016年は6万3185人とピーク時から2500人近く減りました。協会は「製薬業界でMR組織の再編が進む中、コントラクトMRの稼働数にも影響が出た」と分析しています。
薬価の引き下げや後発医薬品の使用拡大、プライマリー領域からスペシャリティー領域へのシフト…。国内の医薬品市場の環境が大きく変化する中、MRは減少時代に突入しました。米調査会社IQVIA(旧クインタイルズIMS)によると、日本の医薬品市場は先進国で唯一、向こう5年でマイナス成長が予測されています。国内市場に明るい見通しはなく、MRの削減はもはや業界全体のトレンドと言っていいでしょう。
CSO協会は2022年にアウトソーシング率(全MRに占めるコントラクトMRの割合)を欧米並みの10%程度まで高めることを目標にしていますが、2017年は5.6%と目標とはまだ大きな開きがあります。
協会は、中小メーカーでの利用拡大や、残業削減などメーカーが行う働き方改革への貢献によってコントラクトMRを増やしていきたいとしていますが、MR減少時代の中、果たして目論見通りにいくのでしょうか?
(文・前田 雄樹)