昨日4月11日に開かれた厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会で、MR(医薬情報担当者)の情報提供がより適切に行われるよう、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインを策定する方針であることがわかりました。
ディオバンやプロブレスなどの事件以来、製薬メーカー各社では情報提供の適正化をめぐる体制作りが進みました。その成果は医薬品の広告や製品情報といった公の場における情報提供に現れたものの、MRのディテーリングやMSLの情報提供のような個別のシーンでは、まだまだ課題が残ることが明らかになりました。
例えば、厚生労働省 医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課委託事業『医療用医薬品の広告活動監視モニター事業報告書(平成28年度版)』には次のような事例が数多く報告されています。
・副作用を効能効果として積極的に推奨している(承認範囲を超える効能効果を示している)
・承認されていない効能効果を、非臨床データを用いて積極的に紹介している
・承認されていない用法用量を推奨している
・対象薬との比較を強調するプロモーションを行っている
・誤解を生じさせやすいグラフの加工によって、効能効果を誇大に見せている
・症例数が少ないデータを用いて不適切な説明を行ったり、安全性を軽視したプロモーションを行っている
いずれも、MRによる口頭説明やスライドデータを用いた説明、セミナーでの説明など、証拠の残りにくい場面で起きており、昨年11月の医薬品医療機器制度部会では「MRの情報提供に対する規制を強化すべき」との声が相次ぎました。厚生労働省が本格的に対策に乗り出すのは自然なこと。
ミクス・オンラインが報じた厚労省医薬・生活衛生局の磯部総一郎監視指導・麻薬対策課長のコメントによれば、「口頭や映像であっても現行の医薬品医療機器等法(薬機法)違反に該当する」とのこと。ガイドラインは夏頃までに取りまとめられ、年内に通知される見込み。MRと製薬メーカーには、今後ますますの浄化が求められていくことになるでしょう。
(文・須藤 利香子)