こんにちは。新人の栗山です。今回は少し余談に近い内容になりますが、お付き合いください。
今から4年ほど前。父が悪性リンパ腫と診断され、都内の大型病院に入院しました。
父は強い人間でしたが、さすがに医師から「余命3ヶ月」と診断された際は、とても動揺したのではないかと思います。
なぜなら14年前、父は同じ病気で義理の兄を亡くしていたからです。しかも病名だけでなく、同じ病院で。
私の父は、「義兄の雪辱戦だ」と身を奮い立たせて施術に耐えました。お医者さんが適切な処置をしてくださったおかげもあって、何回かの入退院を繰り返した後、奇跡的に寛解することができました。今年で寛解後まる3年を迎え、ほっとしています。
父と伯父(父の義理の兄)の命運を分けたのは、リツキシマブという分子標的薬でした。
最近では、6月にスペイン・バルセロナで行われた欧州血液学会で、「濾胞性リンパ腫にも高い効果を発揮することがわかった」と発表があったリツキシマブは、1997年にアメリカで誕生しました。その後、日本国内で発売が開始したのは2001年のこと。伯父が亡くなった直後に現れた新薬なのです。
このリツキシマブの登場により、悪性リンパ腫治療の領域は、急激に進化を遂げたと言われています。
ですが、どんなに画期的な新薬も、無条件で医療現場に導入されるとは限りません。
特にがん治療のような個別化医療が進む領域では、症状の数だけ違う薬が存在しますから、医師も副作用の把握にとても骨を折るのではないかと思います。新薬のスムーズな導入・運用の背景にはMR(医薬情報担当者)のご活躍がある、ということを、私はこの仕事に就いてはじめて思い至りました。
父も、MRの方の健闘がなければ、助からなかったかもしれません。そう思うと、感謝の気持ちを新たにする次第です。これからも、MRの手によってたくさんの尊い命が救われていくことを、願ってやみません。MRのみなさん、これからもよろしくお願いします!
(文・栗山 鈴奈)