昨年、医療マーケティング・コンソーシアムが、日経デジタルマーケティングやケアネット・ドットコム、日経メディカル オンラインと新設した『eコミュニケーション大賞』をご存じですか? 日経BP社ニュースリリース『eコミュニケーション大賞を創立』
「インターネットメディアを活用した医療関係のプロモーションや広告で優秀な事例をたたえ、共有、発信することで、“e”に関するコミュニケーションの発展に寄与したい」という賞のコンセプト。各社のネットマーケティング戦略やeディテーリングへの取り組みが、ついに公の場で評価される時代が来たのだな、と感慨深く思いました。
薬価制度改定や新薬開発に悩む製薬業界では、ご存じの通り、プロモーションの効率化が課題視されることが多くありました。インターネットを駆使して医師に情報提供を行う『eディテーリング』の仕組みは、タブレットやスマートデバイスの普及、ドクターの情報収集スタイルの変化などを背景に、ここへ来て、急速に普及しつつあります。
例えばアストラゼネカやバイエル製薬では、「総ディテール数の3割程度はeでしめられているとみられる(Yakugyo Jiho5.25より)」と言われます。
ひとえにeディテーリングと言っても、その形態は様々。多くの企業で、MRのサポートツールとしての活用が進む中、バイエル製薬やアストラゼネカでは、MRを介さず自社の長期収載品をプロモートする、“無人営業”をeディテーリングで実現しています。
こうなると気になるのは、「やがてMRが要らなくなってしまうのでは…」という点。eディテーリングがサポートツールであるならまだしも、MRにとって変わる存在となってしまっては、歓迎できるものではありませんね。
eディテーリングはMRにとって敵なのか、それとも味方なのか。普及が進むことで、MRにはどのようなデメリットがあるのか。次回はそのあたりに着目してお話ししていきます。
(文・須藤 利香子)