いよいよ創薬以外にもAI導入が広がりそうです。
2月5日に沢井製薬から出されたリリースによると、同社は医療関係者がより早く知りたい情報にたどり着けるよう、自社の医療関係者向けサイトにAIを活用したチャットボットを導入しました。
チャットボットとは、人工知能によって作られた自動会話プログラムのこと。質問を入力するとAIがすぐそれに答えてくれるため、手早く目的の情報にたどり着ける点が注目を集めています。身近なところでは、iPhoneのSiriやクロネコヤマトのLINEサービス、IKEAのAnnaが有名です。
医療関係者向けサイトは、MRのディテーリング同様、患者の命に関わる製品情報を扱いますから、多忙な医療従事者がいかに素早く、目的の情報にたどり着けるかが鍵。現に、ネグジット総研MMPRが2016年に行った調査でも、「製薬企業ウェブサイトで改善してほしいと感じたことでは、「ごちゃごちゃしている」「見づらい」「使いやすくしてほしい」などコンテンツ以前の問題として使い勝手を指摘する内容が多かった」(ミクスオンライン)とされ、今回のチャットボット導入は医療関係者からも注目を集めています。
一方で、気になるのは、MRへの影響です。AIによりサイトが賢くなることで、ドクターはわざわざ時間を割いてMRのディテーリングを受けるより、治療の合間を縫ってサイトで情報を得るようになることは想像に難くありません。既にMRの少ない後発薬の領域では、2010年から日本ジェネリック製薬協会が「ジェネリック医薬品情報提供システム」を運用し、製品情報のやりとりがオンライン上へ集約されつつあります。
「AIによってなくなる仕事」というものがよく話題に上りますが、今回の一件は、MR削減トレンドにさらなる拍車をかける結果となるのか…医療関係者向けサイトの発展に注目です。
(文・栗山 鈴奈)