調査会社のセジデム・ストラテジックデータ(大阪市)がまとめた、2010年上半期の世界製薬メーカー売上ランキングが発表されました。
それによると、
1位はファイザー、2位はノバルティス、3位にメルク、4位がロシュ、5位にサノフィ・アベンティスがランクインしています(セ ジデム・ストラテジックデータ株式会社の調査による)。
昨年に続き1位のファイザーと3位のメルクは、大型の買収を行ったことがキープの要因と思われます。特筆すべきは、ワクチン事業を拡大したノバルティスが、09年通年で5位だったところから一気に2位になったことでしょう。
一方、国内勢について、日経産業新聞では次のように書かれています。「第一三共がアステラス製薬を逆転、国内最大手の武田薬品工業はイスラエルの後発医薬品世界最大手のテバ・ファーマスーティカルに抜かれた。どちらの順位変動も後発薬事業の影響が大きいとみられ、今後も順位の変動が続きそうだ。」
MR(医薬情報提供者)の皆さんもご存じの通り、今年は2010年問題の影響もあって、各社が新たな収益モデルの模索とM&Aにひた走った年でしたが、このように国内外ともにかなり順位が入れ替わったランキングとなりました。そんな中、ワイスを買収したファイザーを筆頭に、ランク上位を占める各社に共通するのは、ワクチン事業の存在でした。今回のランキングで国内2位となった第一三共も、昨年の10月にワクチン専門組織を立ち上げたばかり。
日本国民は「ワクチン嫌い」と言われていましたが、国内でもワクチン事業が各社の命運を握るカギとなりうるでしょうか。現に、ここ一年で数多くの国内企業がワクチン事業へ参入。昨年の新型インフルエンザの流行で、皮肉にもワクチンが日本人にとって利用されやすいものになったのかもしれません。
そうなれば、国内のシェア争いでも、ワクチン事業が重要な役割を担うのは必至。10月1日より、新型インフルエンザワクチンの接種がスタートし、化学及血清療法研究所、北里研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研、そしてグラクソ・スミスクライン製のワクチンが提供され始めたばかり。ですが、その一方で昨年ノバルティスから輸入した新型豚インフルエンザのワクチンが大量にあまり、214億円分を破棄したというニュースもあります。
国としては、今年こそワクチンに対する適切な体制を構築したいところでしょう。そのような中、各社の売上はどれくらいのところに着地するのか。まずは見守りたいところです。
(文・須藤 利香子)