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C型肝炎治療市場に見る変化の速さと、新興市場に飛び込むMRが意識したいこと

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[ 2015年07月23日(木) ]
ソバルディ錠(ギリアド・サイエンシズ株式会社のプレスリリース)より引用)

ソバルディ錠(ギリアド・サイエンシズ株式会社のプレスリリース)より引用)

パテントクリフ以降、新興市場の動きが活発になっています。今回、特に注目したいのは、これまでインターフェロン治療が一般的だった、C型肝炎治療薬の市場です。

C型肝炎は現在、患者数が100万人とされ、うち1型が7割、2型が3割と言われています。先述の通り、C型肝炎の治療にはインターフェロンが活用されてきましたが、全体の7割を占める1型には効きにくく、効きやすいとされる2型でも、重篤な副作用に悩まされる場合がありました。

このため、1型・2型を問わず、インターフェロンに代わる治療方法が必要視されてきました。

2014年9月、ブリストルマイヤーズから、世界で初めてインターフェロンを使わない経口剤として、「ダクルインザ」「スンベプラ」が発売されました。これらの薬は、インターフェロンの効きにくいジェノタイプ1型に対して高い効果を発揮し、今年3月までのわずか7ヶ月で投与数約2万人。インターフェロンが効かなかった多くの患者の命を救い、C型肝炎の治療を大きく変えるものとして注目を集めていました。この7ヶ月での売上高は薬価ベースで500億円を記録したと言われています。

それから1年と立たないうちに、ブリストルの築いた新市場は、ギリアドによって早くも塗り替えられようとしています。

ギリアドは今年の5月にまずジェノタイプ2型を対象としたインターフェロンフリー経口剤「ソバルディ」を発売。副作用リスクを伴うインターフェロン治療に代わって大きく投与数を伸ばしました。昨年の「ダクルインザ」「スンベプラ」同様、競合のいない中で一人勝ち。売上は初年度1000億円と予想され、年商約10億ドルのブロックバスターが誕生することになります。

ギリアドは今月、さらにジェノタイプ1型を対象としたインターフェロンフリー経口剤「ハーボニー」が承認に。ブリストルの独断場だった1型の市場に殴り込みをかけました。「ハーボニー」は「ダクルインザ」「スンベプラ」に比べて、治療期間が約半分の12週と短い上に著効率も100%を誇るなど、競合との差別化も万全。わずか1年の間に、治療体型を変える新薬の登場と、その新薬をさらに凌駕する可能性のある競合品が登場するなど…市場の伸びもさることながら、その変化の速さにも驚嘆させられます。

C型肝炎市場はあくまで一例ですが、他にもほんの1年の間に大きく勢力図が変わるような、めまぐるしい市場に興味をお持ちの場合、MR(医薬情報担当者)は転職活動の仕方を変える必要があるかもしれません。

転職すべき企業を見失わないためには、マーケットを注視することが重要ですが、応募前に熟慮しすぎると、業界の変化に取り残されてしまう可能性が。従って、まずは気になったら応募する、そして面接を受けてからじっくり判断する…という初動の早さが、転職成功のポイントとなるでしょう。

(文・須藤 利香子)

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