「「特許期間中は薬価を維持し、特許が切れれば後発品に市場を譲っていく」。10年前から製薬業界と政府が描いてきた、医薬品市場の構造転換図だ。14年4~9月決算で、ようやくこれが実現したといえそうだ。」
2014年12月8日の日刊薬業には、上記のような文章が掲げられていました。同記事によれば、東証一部上場の製薬企業上位11社の長期収載品41品目の4~9月の売上は、前年同期比で21.5%の減収となったということで、確かにかなりのシェアを後発薬に明け渡しているといえます。
MR(医薬情報担当者)のみなさんもご存知の通り、もともと、後発薬・ジェネリック医薬品の普及促進は、医療費の高騰を危惧して国が推し進めていることです。以前、このコラムでも触れた通り、2012年度末までに普及率30%を目指していました。ところが、あえなく着地は25%ほど。その後、2017年度までに34.3%(=新算式では60%とされる)という新たな目標を掲げ、診療報酬改定を実施しました。
「14年度診療報酬改定で後発品の使用料が多いDPC病院を評価する仕組みが導入されたため、病院が数量を稼ごうとして、患者の多いこれらの薬剤の後発品を積極的に採用したとみられる。(日刊薬業2014年12月8日号)」
「医師は投薬については「使い慣れ」を重視する傾向があり、同じ成分のジェネリックがあっても長期収載品を処方しがち。(中略)ところが、調剤体制加算の強化を受けて、調剤薬局は処方箋に医師からの「ジェネリックへの変更不可」の指示がなければ、どんどんジェネリックを処方し始めた。(東洋経済ONLINE「ジェネリックが製薬界の想定超に伸びる理由」より)」
2014年上半期の長期収載品シェア減少は、まさにこの診療報酬改定が奏功したといえますが、それを素直に喜べないメーカーが多いのもまた事実です。新薬の特許切れから後発薬への切り替えが早ければ早いほど、潤うのはジェネリックメーカー。新薬メーカーとしては、いかに矢継ぎ早に新たな薬を市場に投入し、第二・第三・のブロックバスターを作り出す必要があることは、言うまでもありません。
2017年度までの34.3%(=新算式60%)がいよいよ現実味を帯びてくる中、これから転職を検討される場合には、各社のパイプライン情報をはじめとする情報を事前に収集することが、ますます重要といえるでしょう。
(文・須藤 利香子)