こんにちは。暑い日が続いていますね。車の中は特に熱がこもります、みなさんくれぐれも体調管理に気をつけて下さい!
さて、ここ数年、業界全体でM&Aが活発化しています。MR(Medical Representative、医薬情報担当者) としては、買収・合併されると会社はどう変わってしまうのか、気になるところですね。
以前、M&Aを理由に外資系製薬メーカーを退職された経験のあるMRさんと、お会いする機会がありました。今回は、そのときに伺った、「会社が合併するとどうなるの?」というお話をしたいと思います。
「合併後は、現場がいろいろやりにくくなる」とはよく聞きますが、具体的にはどんなことが起こるのでしょう? 合併される側が合併する側のカラーに塗り替えられるのが一般的ですが、具体的には、M&Aは、企業をどう変えてしまうのか…。
いちばん変わるのは、給与や待遇、福利厚生面。合併する側の方が好条件なら良いですが、場合によっては給与ダウンや手当の消滅、今まで受けられていた福利厚生がなくなるなど、悪いことづくしになるケースも。実際、こうした条件の悪化を理由に退職される方も多いです。
でも、私のお会いしたMRさんは、給与以外の理由から、吸収合併を機に退職されたそう。果たしてその理由とはなんだったのでしょうか…? 参考までに、インタビューの内容をご紹介します!
――今回ご経験された合併は、吸収する側ですか? される側ですか?
合併された側です。ぼくの勤めていたのはA社という外資系企業で、海外で本部が別の大手外資系メーカーB社に買収されたことを受け、日本ではB社の日本法人に事業統合されました。
――合併で給与は変わりましたか?
いえ。給与や待遇面は、実は僕が辞めるタイミングでは、社員全員、昔の(A社のテーブルの)ままでした。いつまで前の仕組みを維持するのかはわかりません、たぶんゆくゆくはB社式の給与査定が行われて、福利厚生や各種手当てもB社のものに一本化されるのでしょうけど。
合併すると聞いたときは、給与のことをいちばん気にしていたので、意外でしたね、すぐに切り替わるわけではないんだなと。
――それでは、1番の退職理由は何だったのですか?
社風がガラッと変わってしまったことですね。
僕の場合、吸収された側ですから、役員は全員下ろされてしまい、まったく別の会社のようになって、とたんに居心地が悪くなってしまったんです。もともと、のんびりした社風で会社の雰囲気はとても好きだったのですが、B社の、合理的というかクール&ドライな雰囲気に変わってしまいました。
今まで僕の居た会社は労働組合がとてもよく機能していたのですが、この合併を機にそれもなくなりました。そういう面で働きにくい風土になったとは思いますね。
――合併は、現場や業務にはどのくらい影響がありましたか?
1番大きいのは、人員の配置換えです。取扱製品の関係で、エリアの割り振りが一から組み直しになりましたから。僕も希望勤務地から外されて遠方に飛ばされることになったのですが、それも退職を決めたもうひとつの大きな引き金でしたね。
そもそも、全く違う会社のやり方を押しつけられるので、システムはまるで変わってしまいました。特に僕の居た会社はプロセス評価主義だったのに対し、合併先は成果主義。僕は早期退職で辞めたので、変更後の業務に携わることはありませんでしたが、残っている人の話を聞くと「まったく別の仕事のようだ」ということでした。
――今回の合併で、どのくらい退職者が出たのでしょう?
正確な数字はわかりませんが…たぶん僕と同じ時期に辞めた早期退職者は、全体の10%くらい。思ったよりは多くなく、「しばらく居残って様子を見よう」というスタンスが多いようでした。居残った人々の話を聞いていると、ここ半年以内にまたずいぶんと辞めそうな感じがします。
但し、あんまり長居しすぎると、辞めたくても辞めづらくなるんじゃないですかね? 組織の方向性がある程度固まってくれば転勤や事務所移転の話が具体的に降ってくるでしょうし、そうなると、働きながら転職するのはちょっと厳しくなるじゃないですか。そうしているうちに、新しい給与形態が適応されるようになったり、エリアが変わったり、ずるずると新しい環境に呑まれていってしまう。
僕なんかは、新しい環境に馴染むことにけっこうパワーを使うタイプなので、合併後にあまり長居しすぎてしまうと、転職自体がめんどくさくなってしまうんです。そういう人は、早めに見切りをつけた方が良いですね。
…とのことでした。
ただ、今回のお話を聞くと、合併後の社風や組織を見極めるにしても、転職するタイミングにはじゅうぶん気をつけた方が良さそうですね。
もちろん、M&Aにはいろいろな種類がありますから、全部が全部、今回のようなケースではないと思います。会社同士の体質が似ていたり、新しい組織に馴染めれば、それほどストレスもなく続けることができるかもしれません。
現在、合併の噂がちょくちょく出始めている会社にお勤めの人は、くれぐれも慎重なご判断を!
(文・栗山 鈴奈)