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製薬企業に大きな影響「フォーミュラリー」高まる機運

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[ 2017年05月25日(木) ]

製薬企業に大きな影響「フォーミュラリー」高まる機運薬剤費の抑制が大きな課題となっている昨今。経済的な視点も踏まえた医薬品の適正指針「フォーミュラリー」が注目を集めています。

「フォーミュラリー」とは、有効性や安全性だけでなく、経済性も考慮した上で使用が推進される医薬品をリスト化したもの。患者に「最も有効で経済的な薬物治療」を提供するためのもので、米国など欧米各国ではすでに導入されています。

日本でも一部の病院で取り組みが始まっています。例えば聖マリアンナ医科大病院(神奈川県川崎市)では、

・同種同薬効の薬は原則として2剤までしか採用しない

・後発医薬品など安い薬を優先し、すでに採用している同種同薬効の薬と有効性や安全性に明らかな差がない場合は新規採用を認めない

というルールのもと、これまでにスタチンやレニン-アンジオテンシン系薬、プロトンポンプ阻害薬など9つの薬効群でフォーミュラリーを作成。ほとんどの薬効で後発品が第一選択となっており、薬剤費の削減に効果を上げているといいます。

このフォーミュラリーが注目されるきっかけとなったのが、昨年6月に政府がまとめた「骨太の方針」。高血圧患者に対して薬価の高いARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)が多く処方されていることなどが問題視され、生活習慣病治療薬などに処方のルールを設ける方針が盛り込まれました。厚生労働省も来年度の診療報酬改定の検討項目に位置付けており、本格的な導入に向けた機運が高まっています。

診療報酬改定の検討項目に位置付けられたということは、フォーミュラリーの導入に対して何らかのインセンティブが設けられることも考えられます。厚労省からも「検討の時期に来ている」(5月23日付日刊薬業)との声が上がる一方、処方医の裁量を狭める、関係者間の調整が困難といった壁も。政府が旗を振ったからといって、すぐに普及というわけにもいかないかもしれません。

ただ、いざ導入が進むとなると、製薬企業にも大きな影響が及びます。フォーミュラリーへの採用をめぐって激しい競争が起こるでしょうし、経済性も重視されるので「過度な価格競争が起こる」といった懸念の声も聞かれます。

MRにも大きなインパクトを与えることになるフォーミュラリー。今後の動向に注目です。

 

(文・前田 雄樹)

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