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製薬メーカー各社のダイバーシティ成熟度と女性MRが企業を選ぶコツ(前編)

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[ 2015年12月17日(木) ]

製薬メーカー各社のダイバーシティ成熟度と女性MRが企業を選ぶコツ(前編)当コラムでもたびたび取り上げてきた、「ダイバーシティ」。その一環として、女性の雇用の見直しは、以前より多くの企業に浸透してきたように思います。その波は、11月20日の日経新聞に『MR 勤務地希望通り』という見出しで大日本住友製薬の取り組みが紹介されるなど、一部の日系企業にも広がりつつあります。

とはいえ、依然としてダイバーシティに取り組む企業は限定的。加えて、制度が充実していると思われる企業でさえ、じゅうぶんとは言えないのが現状です。各企業で産休・育休や女性管理職の登用など実績が増える中、実際にその企業で働くMRはどのように感じているのでしょうか。ダイバーシティ制度を導入して数年経つ企業数社で実際に働いているMRに話を伺うと、喜びと評価の声がある反面、次のようなネガティブな意見が散見されました。

「一部の女性しか制度を利用できない」(20代・女性MR)
「女性だけが利用できるので不公平。男性にしわ寄せが来ている」(20代・男性MR)
「評価されたとしても、それは自分の実力ではなく、単に女性だからなのでは…と勘ぐってしまう」(30代・女性MR)
「社内が既婚・子持ち女性ばかり見ているので、独身の私は居場所がない」(30代・女性MR)

共通するのは、制度の中身そのものではなく、運用面の不平等さ。「実績作りを急ぐあまり、本質的な部分がなおざりになっているのではないか」という冷ややかな意見も中にはありました。

こうした取り組みについて、企業サイドはどう考えているのでしょうか。日経BP社が2014年に実施した「女性が活躍する会社Best100 管理職登用率部門」で製薬会社で唯一ベスト10入りを果たした日本イーライリリーでは、「確かにダイバーシティへの取り組みは、優秀な人材に長く働いてもらうためにはどうするか、という戦略の一環としてスタートした」と認めながらも、次のように話しています。

「当社としては、性差や社員間で取得のしやすさにギャップが生じてしまうような制度は生み出したくない、というのが本音です。子育てのあり方やキャリアの捉え方も多様化している中、男女関係なく、競争力を保ちながら、長時間労働を解消することを目標としています」(人事本部長・加納香氏)

同社が導入しているのは、MRの時短勤務制度です。イーライリリーでは、ドクターのニーズに合わせつつも昼のアポイントだけを担当する5時間勤務MRと、昼と夕方の両方のアポイントを担当する7時間勤務のMR、2種類の時短MR制度を2010年にスタート。訪問先の都合に左右されがちなMRの時短勤務化は難しい印象があったものの、蓋を開けてみるとドクターは好意的。保育園の送り迎えに理解を示すだけでなく、応援されることも多いといいます。こうした状況も追い風となって、同社では、男女関係なく、現在26名が制度を活用しているとのことでした。

いかにして、男女関係なく制度を活用できるようにするか。その方法は「まずは女性から実績を増やしていき、支店ごとに性別・年齢を超えて気兼ねなく制度を使える雰囲気を作っていくこと」(同・加納氏)だと言います。企業側が実績作りを急ぐ背景には、このような狙いもあるのかもしれません。

ダイバーシティ先進企業として知られる日本イーライリリー。ですがそんな同社でさえ、グローバルと比べるとまだまだ道半ばだと加納氏は語ります。

そんな、日本国内で今後女性MRはどのように転職先を見つけていくべきなのか…。次回は末永く女性MRがキャリアを築いていく方法についてお話しします。

(文・栗山 鈴奈)

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