武田薬品工業がアイルランドの製薬大手・シャイアーの買収を目指しているのは周知の通り。既に株主総会での承認は得られており、年明けにも買収は完了するものと言われています。買収額は約7兆円と桁外れの規模ですが、実現すれば武田が悲願の世界ランクトップ10入り。初の国産メガファーマの誕生となります。
その一方、アステラス製薬が、米国のバイオ・ベンチャー「ポテンザ・セラピューティクス」を買収することが報じられました。買収額は186億円と武田薬品に比べれば小ぶりですが、ポテンザ社はこれまでアステラスと独占的共同研究契約を締結しており、パイプラインには、癌領域の免疫系新薬が3つ、臨床開発段階にあります。この買収により、アステラス製薬はオンコロジー領域のポートフォリオをかなり強化できるでしょう。
また、大正製薬ホールディングスは、ブリストル・マイヤーズスクイブのフランス市販薬部門を1800億円で買収予定。医療用医薬品とOTC医薬品を両輪でまわしたい大正製薬ホールディングスですが、医療用医薬品事業は減収が続いています。ノバルティスやファイザーといった外資系メガファーマが大衆薬事業の切り離しと医療用医薬品への注力に舵切りをするのとは対照的に、今回の買収でOTCの海外展開で収益増を目指します。
2018年もあとわずかとなりました。ここへきて日系企業の動きが活発化していますが、果たして2019年は製薬業界にとってどのような年になるのでしょうか。
本年もMR BiZをご覧頂きありがとうございました。それではまた来年お会いしましょう。良いお年を。
(文・栗山 鈴奈)