ここ最近、新薬といえば、オンコロジーやアルツハイマーといった難治性の重篤疾患が話題の中心でした。そんな中、このたび世界で初めて承認され、注目を集めている新薬は、生化学工業の椎間板ヘルニア治療薬・ヘルコニア(一般名コンドリアーゼ)。8月から科研製薬が販売をスタートします。
東京新聞(2018年7月17日)によると、「新治療薬は、一般名コンドリアーゼ。椎間板の中に針を刺して注入すると、酵素の作用で、髄核内の多糖類が分解される。それにより、髄核の保水力が減少し、椎間板の内圧が下がることで、ヘルニアが収縮する」とのことで、生化学工業は「本剤1回の投与により後縦靱帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニアの症状改善効果が期待できる」(5月22日プレスリリースより)としています。
つらい腰痛の代名詞ともいえる椎間板ヘルニア。その患者数は、日本国内でおよそ100万人。国外でも、例えばアメリカ・フランス・ドイツ・イギリスの4カ国だけでも400万人以上にのぼると言われています。
これまで、椎間板ヘルニアの治療といえば、
・局所麻酔やステロイド剤といった神経ブロック注射
・消炎鎮痛薬や筋弛緩剤の使用
・ストレッチや体操などの理学療法
などを行い、それでも自然治癒しない場合は手術によってヘルニアを切除したり、骨を金属に固定したりといった方法を取ることが一般的でした。今回承認されたコンドリアーゼは、全身麻酔の必要もなく、低侵襲の新たな治療法として注目を集めており、既にアメリカでも開発中です。
コンドリアーゼによる治療は、頸椎ヘルニアなどにも応用できる可能性があるとされており、日本初の治療法が新たな市場を開くことになるのかもしれません。今後に注目です。
(文・須藤 利香子)