高齢化を背景に患者が増加する骨粗鬆症。2010年以降、新薬の投入が相次いでおり、市場拡大が続いています。
そんな骨粗鬆症治療薬市場に、また注目の新薬が登場します。今年9月に承認された旭化成ファーマの「リクラスト」(ゾレドロン酸ナトリウム)。骨粗鬆症治療薬として広く使われているビスホスホネート製剤ですが、驚くべきはその用法。何と、1年に1回の点滴で済んでしまうのです。
骨粗鬆症治療薬には多くの種類があり、最近では患者のライフスタイルに応じて豊富な選択肢から治療薬を選べるようになっています。
「リクラスト」と同じビスホスホネート製剤には、内服薬と注射薬、点滴薬があり、投与の頻度も様々。「1日1回」「1週間に1回」「4週間に1回」「月1回」などがありましたが、「1年に1回」は「リクラスト」が初めて。これまで投与間隔が最も長かった骨粗鬆症治療薬は、抗RANKL抗体「プラリア」(第一三共、2013年6月発売)の「6カ月に1回」でした。
ビスホスホネート製剤では「4週間1回」「1カ月1回」の製剤が売り上げを伸ばしており、「プラリア」も今年度の売上高が160億円(前年度比28.5%増)に達する見通しです。投与間隔の長期化がもたらす利便性へのニーズの高さが表れとも言えるでしょう。
高い骨折抑制効果を持つ副甲状腺ホルモン製剤「フォルテオ」(日本イーライリリー)と「テリボン」(旭化成ファーマ)、活性型ビタミンD3製剤「エディロール」(中外製薬/大正富山医薬品)などの新薬が市場拡大を牽引する骨粗鬆症治療薬。活況を呈する市場で、「年1回投与」という従来製品にない特徴を持つ新薬は、どのような評価を受けるのでしょうか。
「リクラスト」は11月にも発売される見通しです。
(文・前田 雄樹)