ジェネリック医薬品の普及目標が大幅に引き上げられました。2015年5月29日の日本経済新聞が報じています。
これまで、ジェネリック医薬品の普及目標は、2013年4月5日に厚生労働省が発表した「後発医薬品の更なる使用促進のためのロードマップ」で定められた、2017年度までに60%以上、というのが1つの節目でした。2013年度の実普及率は46.9%。
このたび厚生労働省によって定められた新目標は、「2020年度に80%を実現する」というもの。さらにこの目標に対し、政府の行政改革推進会議は「2017年度に80%」と前倒しするように求めており、事実上の2017年度目標の20%引き上げとなりそうです。
厚労省の試算によると、「2013年度に46.9%だった普及率を80%に高めれば、1.3兆円の医療費削減効果がある」(ロイター 2015年5月26日)とのこと。高齢化に伴う医療費高騰を大きく抑えることができますが、これにより後発薬市場がいっそう活性化することは想像に難くありません。
富士経済の調査では、2017年度に全目標である60%を達成できたとしても、オーソライズドジェネリック(オリジンを保有する企業から許諾を受けたジェネリック医薬品)の市場規模は、2014年度の90億円(見込み)から、3年で550億円に拡大すると予想しています。
目標実現にあたって、政府で「後発医薬品と効き目が同じで価格は高い特許切れの新薬を患者が選ぶ場合、自己負担を増やす仕組みを検討」(日本経済新聞電子版 2015年5月17日)していることも報じられています。
後発薬メーカー追い風の中、新薬MRにとってはファーストインクラス・ベストインクラスを扱う差別性、高い学術情報提供能力が求められる専門性、アンメットメディカルニーズと向き合う、MR(医薬情報担当者)としての価値が試される時代となりそうです。
新薬メーカーMRがいっそう市場価値の磨かれる立場へ変容していく反面、ジェネリックMRという職種もまた、安定志向の方にフィットするポジションへと、変化していくのかもしれません。
後発薬普及目標と施策の数々は、6月中にもまとめられる政府の『財政健全化計画』に盛り込まれる方針です。
(文・須藤 利香子)