11月5日、小野薬品の中間決算会見がありましたね。その中で、相良社長は、9月に発売した悪性腫瘍薬「オプジーボ」(ニボルマブ)について、
「ここ1~3年は、 様々な癌種への効能効果や治療のラインを確立するための臨床試験のコストをしっかり確保する」と断言。「来年度から見込まれている海外での発売のロイヤリ ティ」にも言及し、「オプジーボの最大化」に期待を寄せた。(薬事日報2014年11月10日より)
小野薬品のサイトによると、オプジーボは、
ヒトPD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体です。オプジーボは、PD-1とPD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との結合を阻害することで、がん細胞により不応答となっていた抗原特異的T細胞を回復・活性化させ、抗腫瘍効果を示します。
以前に行われたじほうの取材に対し、相良社長が「社の今後十数年を背負う新薬」と意気込んでいたオプジーボは、小野薬品にとって癌領域への本格参入の足かがりとなるもの。
2014年度薬価制度改革では、類似薬のない新薬に適用する原価計算方式の薬価算定でイノベーション評価を拡大するため、50%増が上限だった営業利益率 の加算幅を100%増まで広げた。この新ルールがオプジーボに初めて適用され、60%の加算が認められた。これまでは、11年7月に収載されたエーザイの 抗がん剤「ハラヴェン静注1mg」の40%が最高だった。()
海外ではブリストルが米FDA(食品医薬品局)と欧州医薬品庁(EMA)に承認申請を。FDAは同剤を優先審査の対象とし、ブレークスルーセラピー(画期的治療薬)にも指定されるなど、業界内の反応はかなりのもの。癌細胞を体内の免疫を介して攻撃するため、薬剤耐性が付きにくいという特徴があります。
現在はほくろのがんと呼ばれるメラノーマに対する効能で承認を得ていますが、今後、非小細胞肺がんをはじめ、様々な癌に対して適応拡大が予想されています。
相良社長は7月の取材時点で既に「最低でも100人を超える体制へ拡大する方針だ」と述べていましたが、今後の適応拡大次第では、小野・ブリストルともにMR(医薬情報担当者)の大量増員の可能性があります。オンコロジー領域の画期的な新薬ともなれば、専門性を付けるには最適な環境。ぜひとも、今後の同社の動向を見守りたいところです。
(文・須藤利香子)