これまで二度にわたって、病院のジェネリック医薬品への置き換えに関する記事をご紹介してきました。
その間にも、11月22日の政府行政刷新会議で、ジェネリック医薬品(後発薬)の利用促進に関して触れられていましたね。当日は「先発品の薬価は後発薬を目指して大幅に引き下げ、国民の医療費負担を最小限にすべき」(行政刷新会議「提言型政策仕分け」 より)との提言が飛び出すなど、新薬メーカーにお勤めの方にとっては、ますます後発薬の存在が気に掛かることと思います。
先日、ある数百床規模の病院の関係者から、こんなお話を聞きました。その病院は、利益率がおよそ1.3%。年間の医薬品購入費が数十億円に上るため、院内の700品目近い薬の中から、およそ70品目をジェネリックに置き換えました。結果、1~2億円の購入費削減に成功した、ということでした。
億単位の削減。前回お話ししたように、ジェネリック導入については院内の障壁があるものの、一度の置き換えでこれだけのコストを抑えられるとあれば、DPC導入と共に踏み切る病院が増えるのも納得でした。私がお話を伺った方の病院では、利益率の改善に加えて、設備の改修や看護配置(看護師一人あたりに対する患者の人数)のための採用コスト捻出等の理由があった、とも聞きました。
その一方で、安全性や効能がまだはっきりしない後発薬よりも、できることなら新薬を使い続けたい、という想いがあるのも事実のようです。現にその方は、ジェネリック導入に先駆けて、新薬メーカーのMR一人ひとりに後発薬への置き換えを検討している旨を相談したと言いますし、実際は後発薬に置き換えられなかった薬もたくさんありました。
病院側が望むのは、高価な新薬の値下げ。とはいえ、薬によっては大幅な値引きをしない限り、後発薬の価格には遠く及ばないものもあります。他社製品との比較・差別化を明確に行っていくほか、MRとして他社のMRにはない情報提供をし、商品に付加価値を付けていくことが、今後ますます求められそうです。
新薬メーカーは、特許切れで売上が下がる中、格安のジェネリックに乗り換えられてしまうのをどう防ぐべきか…。メーカーが今後どう対処していくのか、とても気になります。
(文・須藤 利香子)