医師に対する一般名処方加算、そして調剤薬局に対する後発医薬品調剤体制加算。4月1日の診療改訂報酬見直しで新たに始まったジェネリック普及策は、まさに政府がいよいよ本腰を上げたものになりました。これにより、一気に拡大が期待されるジェネリック。最近では大病院がコスト削減のために院内で使用する薬剤をジェネリックに置き換える動きもあり(「大病院におけるジェネリック医薬品への置き換えに関する参考情報 その1」参照)、いよいよ本格的に拡大の兆しを見せています。
一方、ジェネリック医薬品は、昨年11月の追補収載で新たに135成分・521品目が薬価収載されました。これは1998年以降最多となるようで、まさに需要・供給ともに拡大が見込まれている、と言えそうです。
薬価の低いジェネリックの普及は、一部には製薬市場の成長をストップさせるという見方もありますが、中にはテバのような企業があることも忘れてはなりません。
テバは、ジェネリックをメインに据えた企業としては異例の売上161億ドル(1兆2880億円程度。2010年度)を誇る、イスラエルの後発薬企業。ブリストル・マイヤーズスクイブに続く、世界12位の医薬品メーカー。15位の武田薬品工業を20億ドル差で突き放しています。2011年は、さらに20億ドル上積みの183億ドルの売上を達成。そんなテバも、2000年時点では17億ドル程度の売上しかありませんでした。10年で10倍の売上を達成した同社の成長力からは、後発薬メーカーと市場の可能性が垣間見えます。同社の成長戦略を読み解く中には、少なくとも、ジェネリックメーカー各社にとって参考になる、経営やラインナップに何かしらのヒントがあるのではないでしょうか。
今後、日本のジェネリック市場が拡大していけば、新薬メーカーに匹敵する競争力を持つ後発薬メーカー、第二・第三のテバが登場することも十分あり得ます。2010年問題の渦中、政府主導のジェネリック普及策が進み始めた今、後発薬市場はむしろ最も伸びていく可能性のある成長市場の一つとまで言われています。
これまでは開業医を相手に価格交渉や接待のイメージが強かったジェネリックMRですが、大病院のDPC導入等とも関連して、顧客層が新薬と近づいたことから、MRの活動内容もより細密なディテーリングが必要不可欠なものとなってきました。全国の病院・調剤薬局で後発薬への置き換えがより本格化すれば、それだけジェネリック薬同士が比較される機会が増加します。そうなったとき、導入を左右するのは、価格ではなく、質や、それを立証するMRの情報提供となるでしょう。
市場の成長と共に、変わりゆくジェネリックMRのあり方。以前は新薬メーカーからジェネリックメーカーへ転職することは、さほど一般的ではありませんでしたが、現在のこの市場の今後の可能性や伸びしろを見る限り、新しい選択肢として加えてみても良いのかもしれません。
2012年4月、テバの日本法人・テバ製薬が誕生しました。MR BiZでも求人を御案内することが可能です。
(文・栗山 鈴奈)