ミクス2015年6月号に掲載された調査によると、2015年4 月入社の新卒採用、14年度の中途採用はともに採用控えが目立つ傾向に。新卒採用の場合、遅くとも入社の2年前から採用計画を立案する企業が多いことか ら、今後はさらに採用を抑制されていく可能性があるでしょう。
ミクスでは「MR数は頭打ち感が強く、むしろ減少がさらに進むだろう。(中略)ブロックバスターが期待しづらい国内市場は、かつてほど利益を生み出しにくい構造となり、経営サイドが露骨にMRをコストと見る機運が出ているからだ」と分析しています。業績が伸び悩む企業にとってMRがコストである、というのはショッキングな話ですが、これだけを読んで、企業がMRを目の敵にしているように思うのは、少々早計です。
MR数上位トップ10のうちの1社・中外製薬では、MR数を101人減らしつ つも、その多くをメディカル部門へと異動させています。また、業界全体で見ると、中途採用人数は減少の一途を辿っていますが、大手外資製薬メーカーの大量 採用がなくなった反面、アレクシオンやジェンザイムといったスペシャリティ領域でのMR採用が活発に。それ以外でも、即戦力としてのMR採用は続いていま す。
企業がMR数を削減するのは、決してMRそのものが必要なくなったわけではなく、ドクターと接点を持つ際に重視すべきことの比重が、営業やケアより専門知識・情報の提供へと傾いたと見るべきでしょう。
事 実、専門MRや疾患別MRの導入は昨年調査時の32社から38社へと増加の傾向に。「オンコロジー領域に新規参入した小野薬品、日本ベーリンガーインゲル ハイムが、専門MRを導入した。そのほか、皮膚科に注力するマルホも、生物学的製剤・コロンティクスの上市にともない、製品特化型の専門MRを導入した」 (同・ミクス2015年6月号より)。
企業の中には、中途採用のMRに「学術的な基礎知識が備わっていること」や「会社に不足している知識・技術の吸収」を求める企業も。一時期のようなMRの大量採用こそ少なくなったものの、企業がMRに期待を寄せている状況は、変わりありま せん。スペシャリストMRとして活躍したい人にとっては、決して転職しづらい環境になったというわけではないのです。
とはいえ、MR数の絞り込みは今後も一層進んでいく見込み。今アンテナを高くして、数少ない欠員募集を逃さないようにすることが大切です。
ま た、今回は新薬メーカーの採用状況をお伝えしましたが、後発薬メーカーでは引き続きMR募集が多くされています。その数はむしろ増加傾向にあり、中にはタブレット端末を駆使して新薬メーカー顔負けの情報提供を行う企業もあると言われています。新薬メーカーに行く場合は、ますます専門性に磨きをかけることが 重要と言えそうですね。
(文・栗山鈴奈)