京都大特別教授の 本庶佑さんがノーベル生理学・医学賞を受賞したことで、一般には広く知られるようになった免疫チェックポイント阻害薬。しかし、その普及にはまだまだ課題がありそうです。
(株)アンテリオが、肺がん治療を行う全国の医師に対して行った調査によると、免疫チェックポイント阻害剤が推奨できる患者に対し、臨床医によって提示されたが、患者・家族の希望で実際の処方に至らないケースが、1次・2次治療とも3割程度あることがわかりました。
内訳は記されていないものの、患者・家族が消極的な理由として、「重篤な副作用が怖い」「治療効果が不安」「医療費が高価で支払いが難しい」の三例が挙げられています。
「肺がん治療を行う全国の医師に調査 「免疫チェックポイント阻害剤」治療選択の実態
1次治療で患者へ複数の治療選択肢を提示しているのは21% より良い治療のために必要な選択・サポートとは」より
オプジーボの薬価引き下げが印象深い免疫チェックポイント阻害薬。ですが、価格だけではなく、薬に対する患者の懸念を払拭できていないことも、普及にブレーキをかけていることが浮き彫りとなりました。
MR(医薬情報担当者)には、医師への情報提供を通じて患者の薬に対する正しい理解をいかに手助けできるか…情報提供が試されていると言えるでしょう。現在、免疫チェックポイント阻害薬は「CTLA-4」「PD-1」「PD-L1」で7品目が開発中。製薬業界の転職市場には、免疫チェックポイント阻害薬関連の求人が、増えています。
(文・栗山 鈴奈)