今年の1月にヤンセンファーマのレミニール(ガランタミン)と、第一三共のメマリー(メマンチン)の2つがようやく承認されたのは、記憶に新しいことと思います。
その後さらにノバルティスファーマの貼付剤型アルツハイマー認知症治療薬「イクセロンパッチ」と小野薬品工業の「リバスタッチパッチ」が承認了承。1999年、エーザイのアリセプト(ドネペジル)が発売されてからというもの、国内では実に10年ぶりの承認となります。長い間、待望されていたアルツハイマー治療薬が、ここへ来てようやく出そろったことになります。
認知症の約6割、患者数は2010年だけで115万人強と言われるアルツハイマー。
ヒューマンサイエンス振興財団のまとめた「2010年度国内基盤技術調査報告書 2020年の医療ニーズの展望I」では、エイズや糖尿病、鬱病などと並び、アルツハイマー病が「10年後に医療上特に重要となる疾患」に選ばれました。14日付の日刊薬業が報じています。
上記の報告書は、全国の医師へのアンケートを元に作成されたものとのことですが、大多数の医師が、この先10年間でアルツハイマー病の患者数が増加するという見通しを示していることになります。
髄液中のバイオマーカーを使い、アルツハイマー病を発症の数年前にほぼ100%の確率で予見できるという論文が発表されたのが去年の8月のこと。
今年に入ってからは、ニューヨーク州立大学バッファロー校が、インスリンのアルツハイマーへの有効性を発表。今月はじめには、南カリフォルニア大学が、マウスを使った実験により、高速道路の大気汚染物質が脳神経に損傷をもたらし、アルツハイマー病の原因となり得ることを解き明かすなど、世界的に見ても、活発に研究が続けられているアルツハイマー病。
新薬が承認されてもなお、アンメット・メディカルニーズであることに変わりなく、日本イーライリリーやファイザー、中外製薬などがアルツハイマー治療薬/抑制剤の開発を進めています。さらに直近では国内未承認のパーキンソン病治療薬アポモルフィンが、アルツハイマー病の記憶障害に効果があると解明されるなど、今後も目が離せない分野と言えそうです。
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(文・須藤 利香子)