暑い日が続いていますが、体調など壊されていませんか?
このお盆の間にも、エボラ出血熱をめぐる話題や、癌の早期発見を可能にする血液検査方法の確立など、様々なニュースが飛び交っていましたね。そんな中でも特に注目したいのは、ここ数日、連日報道されているロシュによる中外製薬の完全子会社化のニュース。
中外製薬は、関東大震災に衝撃を受けた上野十蔵が1925年に設立した中外新薬商会が組織変更して1943年に誕生。現在は「がん」「腎」「骨・関節」等の分野に強みを持ち、中でも「リツキサン」や「アバスチン」を擁するオンコロジー領域では、国内トップシェアを誇ります。がん専門MR部隊「オンコロジーユニット」を持つことでも有名ですね。
中外製薬がロシュ傘下になったのは、2002年に戦略的アライアンスを結んでからですが、既に株式の61.53%はロシュが保有しています(2013年12月31日現在。2014年6月30日時点で62%とする記事も)。ここへきて、ロシュが残りの約40%を約100億ドルで取得し、完全子会社化するのではないか、との報道が過熱しています。
これに伴い中外製薬の株価は15%近い上昇を見せ、18日にはストップ高の4015円に到達したものの、同社はホームページ上で報道をバッサリと否定。
一連の報道について、2014 年 8 月 19 日のウォールストリートジャーナルは、
「臨床試験の初期段階にある血友病治療薬「ACE910」が注目を集める中、ロシュは中外製薬の価値を現在の時価総額よりも高く見積もっているのかもしれない」
「日本の法人税率がスイスよりも高いことなど、経費削減余地を見込んでいる可能性がある」
と分析しつつも、「ロシュの主力の抗がん薬を販売していることもあり、中外製薬の株価はきょうの上げを除いてもこの1年で60%上昇しているため、なぜこの時期に完全子会社化を目指すかは定かでない」と完全子会社化に疑問を呈す一幕も。
2014年8月18日のブルームバーグによると「関係者の1人は、今週にも合意が発表される可能性があるとした一方で、まだ最終的な決定には至っていないとも述べた」とのことで、未だ真偽のほどは定かではありませんが、ロシュも中外もオンコロジー領域のリーディングカンパニー。2002年以降、中外製薬はロシュの日本法人としての機能を果たしてきましたが、中には独自の決断で経営の舵を取ってきた部分もあります。今回、完全子会社化されることでそれがなくなり、組織体制にも変化があるかもしれません。業界に与えるインパクトの大きいニュースだけに、今後も2社の動向に注目したいところです。
(文・栗山 鈴奈)
ブルームバーグhttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-NAH97Z6K50XS01.htmlによると「関係者の1人は、今週にも合意が発表される可能性があるとした一方で、まだ最終的な決定には至っていないとも述べた」とのことで、未だ真偽のほどは定かではありませんが、ロシュも中外もオンコロジー領域のリーディングカンパニー。2002年以降、中外製薬はロシュの日本法人としての機能を果たしてきましたが、中には独自の決断で経営の舵を取ってきた部分もあります。今回、完全子会社化されることでそれがなくなり、組織体制にも変化があるかもしれません。業界に与えるインパクトの大きいニュースだけに、今後も2社の動向に注目したいところです。