1. MR 転職【MR BiZ】HOME>
  2. お役立ちコンテンツ>
  3. コラム『未来図:MR』>
  4. アルツハイマー薬に見る、新薬の誕生秘話とMR(医薬情報担当者)

アルツハイマー薬に見る、新薬の誕生秘話とMR(医薬情報担当者)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2013年08月01日(木) ]

アルツハイマー薬に見る、新薬の誕生秘話とMR(医薬情報担当者)自社の薬にどのような歴史・誕生秘話が秘められているのか。それを知ることは、製薬会社のMR(医薬情報担当者)として、製品により思い入れを持つキッカケの1つとなるでしょう。

1999年、国内で発売を開始したエーザイ『アリセプト』。言わずと知れた、アルツハイマー治療薬のブロックバスターです。日本は欧米に後れを取りがちだと言われる中、アリセプトは発売から10年以上経った後も支持され続け、2011年には国内医薬品で最も高い1442億円の売上をマーク。同年、静かに特許切れを迎えました。

長きにわたり、エーザイの売上を支えてきた同薬。ですがその誕生までも、パテントクリフを迎えるのと同じくらいの長い道のりでした。エーザイの特設サイト『アリセプト開発物語』によると、アリセプトの生みの親・杉本八郎さんが研究をスタートしたのは、1983年。昭和58年のこと。サイトでは、杉本さんが次のように研究に没頭するきっかけを振り返っています。

「私の母は、認知症を患いました。私が訪問するたびに、母は尋ねました。「あんたさん、どなたですか?」。私は、母が自分の子どもすら認識できないことに 衝撃を受けました。「お母さん、私はあなたの子どもの八郎ですよ」。すると母はこう答えました。「ああ、そうですか。私にも八郎という息子がいるんですよ。あなたと同じ名前ですね」これは、私にとって笑うことのできない悲しい体験でした。」

その15年後、杉本さんがリーダーを務めた研究チームは、“世界初”と謳われたアルツハイマー病治療薬・アリセプトを完成させました。アリセプトは、特許が切れた後の2012年度も、売上は1000億円に迫る勢い。今年の6月にはドライシロップ状の剤型をリリースし、より多くの患者へとアプローチを広げようとしています。

そんなアリセプトの新たなスタートから1ヶ月後。アルツハイマー治療薬に新たな歴史が刻まれようとしています。7月16日、ルンドベックと大塚製薬が共同開発中のアルツハイマー治療薬『Lu AE58054』について、フェーズ2で「統計学的に有意な認知能力の向上が見られた」との声明が発表されたのです。同薬への期待値は高く、『Lu AE58054』は年間10億ドルを売り上げる次代のブロックバスターとささやかれています。

アルツハイマー治療の期待の新薬。『Lu AE58054』開発の裏には、果たしてどのようなエピソードが隠れているのでしょうか。

(文・栗山 鈴奈)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
このページのトップへ戻る