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いま注目を集めるオーファンドラッグの将来性

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[ 2010年08月05日(木) ]

今回お話する内容は、特にまだオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)を扱ったことのない方にお読み頂ければ幸いです。

6月14日に、米ファイザーがオーファンドラッグの研究部門を設置したという発表がありました。

少しさかのぼると、今年の2月にはグラクソ・スミスクラインが同じくオーファンの開発に特化したビジネスユニットを新設。希少性疾患や難治良性疾患の治療薬、いわゆるオーファンドラッグの研究開発に、続々とメガファーマが参入しています。

オーファンドラッグとは、希少疾病用医薬品という名前にある通り、珍しい病気向けの医薬品のこと。病名や領域を表す言葉ではなく、「レアな病気に対抗する薬である」と国から「認定」された薬の呼び方で、日本では患者数が5万人未満となる医薬品が指定の対象です。

希少性疾患は患者数が少ないため、市場が狭く、新薬を開発しても、売り上げに限りがあります。1993年に薬事法や医薬品副作用被害救済・研究振興基金法が改定され、国による優遇策(助成金の支給と税金の優遇・医薬品医療機器総合機構による指導と助言・優先審査と再審査期間の延長)がとられるようになりましたが、それまでは、開発費すら回収できないほど。

そのため、近年までは企業規模のそれほど大きくない、スペシャリティファーマが主に取り組む“ニッチ産業”のようなものでした。

にもかかわらず、ここへ来てメガファーマが続々と参入するのには、明確な理由があります。それは、「代わりとなる商品が存在しないこと」です。希少疾患に対する治療薬ゆえに、オーファンドラッグには競合となる商品も、先行する商品もありません。難病に苦しむ患者にとっては唯一の特効薬。市場を独占できるだけでなく、数万~数十万円とかなり高額な薬価を設定することが可能なのです。政府による優遇措置のため、開発~承認までの期間も短くて済みます。

『週刊東洋経済』による試算では、「1日の薬価が5000円で5000人に使われるオーファンドラッグがあると仮定した場合、患者一人あたりの薬剤費は社会保険負担分、自己負担分を含めて月15万円。それが5000人なら月間7.5億、年間90億円の売り上げになる(週刊東洋経済2010.5.1-8)」と言われています。国外にも視野を広げれば、売り上げはさらに高まることでしょう。

さらに、もともと難病用の医薬品としてオーファンドラッグ指定を受けていたものが、もっと患者数の多い他の疾病の特効薬になることもあります。中外製薬の「アクテムラ」や田辺三菱製薬の「レミケード」などがその一例で、関節リウマチ薬に適応拡大されたことで、高額な薬価のまま流通させることができ、予想を超える利益を出すことになったのです。

このように、2010年問題で行き詰まり感を強めるメガファーマにとって、オーファンドラッグはまさに未開拓の新大陸。今、オーファンドラッグを商品やパイプラインに持っているメーカーは、製薬企業として非常に高い安定感と強みを有していると言えるでしょう。

それでは、いったいどの企業がオーファンドラッグを扱うのでしょうか。

参考までに、一覧にしてみましたので、下記をご覧下さい。

【オーファンドラッグMR(医薬情報担当者)の求人】

このほかにも、直近でMR(Medical Representative医薬情報担当者)の募集を開始する企業が数社あるとの情報が入っています。まだ募集を開始していない案件でも、ご希望・ご経験に応じて優先的にご紹介できることがありますので、転職ネゴシエーションサービスにお申し込み頂けますと幸いです。

(文・須藤 利香子)

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