先日、22日付の日刊薬業に、都内で行われたノボ ノルディスク ファーマのクラウス・アイラセン社長による会見の模様が掲載されていましたね。
日本を2番目の市場と位置づけ、昨年はビクトーザやノボラピット、レベミルなどのヒットにより、順調な営業利益を誇った同社。今後の展開に関しても、薬事日報にもあるように、「開発パイプラインは歴史の中でも現段階が最も充実している」と自信をにじませました。
そのノボ ノルディスク ファーマが、世界経済フォーラム会議(スイス・ダボス)で発表された、世界の持続可能な企業ランキングで、1位に選ばれたことをご存じでしょうか?
このランキングは、Corporate Knights社により毎年作成されるもので、先進国と新興国の上場企業4000社を対象に、「最も持続可能な企業」を100社選出するもの。日本からはトヨタ(21位)やイオン(40位)など12社がランクイン。製薬企業だけでなく、世界の、それも全産業領域を対象とした中での1位は、まさに快挙と言えるでしょう。
※製薬業界では、スイスのロシュホールディングス社が25位、英アストラゼネカ社が42位、英グラクソ・スミスクライン社が74位、米バクスター社が86位にランクインしました。そのような中、4位にはノボの関連会社もランクインしています。
ここから考えさせられるのは、ノボは、製薬企業の売上高ランキングでは19位(2010年度データより)だったということ。Corporate Knights社および世界経済フォーラムの考えでは、売上や規模だけでは今後も「持続可能な企業」とは言えないということです。
「最も持続可能な企業」の選出には、財務面に加えて、環境への取り組みや社員の労働安全性、イノベーション力など合計11の指標(KPI)から判断が下されています。
ノボのプレスリリースによると、同社はそのうち、エネルギー生産性、温室効果ガス生産性、CEOと平均的従業員の給与比、社員離職率、サスティナビリティの目標達成に役員報酬を連動させる、のカテゴリーで特に評価が高かったそうです。
日本では発表されていませんが、ネットを見る限り、ノボは昨年、業界でいち早く動物実験を行わない、動物細胞でバッチテストを行う方向へと舵を切り、動物保護団体等からも賞賛されていることがわかります。
元来、企業の社内的な取り組みや、評判、スタンスは、売上や会社規模のような明確な数値には表れにくいものです。冒頭で触れたパイプライン情報、社会貢献活動や従業員の幸福度、それらがもたらす間接的な効果など…実に様々な要素が企業の進退には絡んでいます。
今回のランキングは、そうした企業の「見えない実力」を可視化することへの1つのアンサー。と同時に、その結果は、2010年問題によって、売上だけでは企業の寿命や将来性を推し量れなくなったことを証明しているように思えてなりません。