今年、MR(医薬情報担当者)と直接面談の機会を持った医師は54%にとどまり、非対面型コミュニケーションやMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)もMRの訪問減少を補うに至っていない――。こんな報告が米国からもたらされました。
米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupによると、MRと会った医師の割合は前年の67%から大幅に低下。MRと交流しなかったという医師は前年の24%から39%に増加しました。
MRとメールのやり取りをしている医師は20%ほどにとどまり、MSLと過去6カ月間に接触した医師も28%しかいなかったといいます。
医師がMRに会わない最大の理由は「時間がないから」。インターネットの影響も大きく、半数の医師がこの1年でMRに答えてもらうような質問は全くなかったと答えています。
医師が忙しいのは万国共通。日本でも多くの医療機関がアポイント制を導入しており、医師との接触機会は減ってきています。
加えて、日本ではこの10月から、厚生労働省による「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が全面的に運用を開始。MRとしてできることが限られてくる中、介在価値を感じられず、キャリアチェンジを考えるMRも少なくないそうです。
医療業界、製薬業界の環境が変わる中、MRの悩みは尽きません。
(文・前田雄樹)