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製薬企業だけが皆保険維持の“痛み”を負うのか 特例拡大再算定が突き付ける課題

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[ 2016年01月21日(木) ]

製薬企業だけが皆保険維持の“痛み”を負うのか 特例拡大再算定が突き付ける課題売れすぎたら薬価を引き下げます――。2016年度の薬価制度改革で導入されることが決まった「特例拡大再算定」が、製薬業界に波紋を広げています。

特例拡大再算定は、国内での売り上げが予想以上に拡大し、年間販売額が極めて大きくなった薬の薬価を引き下げるルール。

具体的には、
・年間販売額が1000億円超1500億円以下で予想年間販売額の1.5倍以上の場合は最大25%
・年間販売額が1500億円超で予想年間販売額の1.3倍以上の場合は最大50%
薬価を引き下げます。

今回、特例拡大再算定が導入される背景にあるのは、医療費の増大。予想を超えて売り上げを伸ばす薬に対し、公的医療保険財政から際限なく資金を捻出していては、国民皆保険制度が維持できなくなってしまうという懸念があります。薬価制度改革の議論を行ってきた中央社会保険医療協議会では、診療側・支払い側双方から「国民皆保険を維持するために」と特例拡大再算定の導入を強く求める意見が上がりました。

確かに国民皆保険制度は大切な制度です。製薬企業が薬を販売して利益を得られるのも国民皆保険制度があるおかげ、とも言えます。しかし、予想以上に売れたということは、それだけ医師や患者から支持されたということ。「市場で評価される薬剤を懲罰的に価格引き下げの対象とすることは、そもそも理にかなわない」という製薬業界の主張はうなずけます。

来年度の診療報酬改定では、特例拡大再算定の導入などによって例年以上に薬価が引き下げられる一方、医師らの技術料に当たる本体部分は引き上げられます。病院や診療所が大変なのも理解しますが、国民皆保険を維持するための“痛み”は製薬企業だけが負うべきなのでしょうか。

日本製薬団体連合会の野木森雅郁会長は日刊薬業のインタビュー(1月5日付)にこう語っています。

「(国民皆保険制度は)皆が素晴らしい制度だと口をそろえるが、現実を見れば維持できなくなりつつある。今の制度には多くのひずみが出ている。もう限界だろう。製薬業界には『我慢しろ』というが、きちんとした議論ではない」

特例拡大再算定の導入は、国民皆保険をどう維持していくのか、維持していくためには誰がどれくらいの負担をすべきなのか、という重い課題を突き付けています。納得し難いルールではありますが、こうした課題を真正面から考えなければならない時期にさしかかっているのかもしれません。

(文・前田 雄樹)

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