マーケティングの視点をMR活動に活かすことができる背景には、近年のMR活動の変化があります。
かつてMRがプロパーと呼ばれていた頃と比べ、現在のMRは非常に忙しく日々を送っています。
SFA(Sales Force Automation)が登場したことで、MR活動は大きく変わりました。
SFAは、営業支援のために使うさまざまな情報を統括するシステムです。
SFAが登場するまで、MR活動は自己管理がベースにありました。自由度が高く、自分で考えて行動管理する自己責任の時代だったといえます。反面、個人プレーの営業活動による弊害も多くありました。
ところが、SFA導入以降、基本的なマーケティングは本社で集中管理されることになり、MRに任される領域はわずかになりました。
SFA導入前は「人間系」、導入後は「管理系」といわれます。
昔と現在、どちらが良いとは一概にはいえません。ただ、SFAは本来MRを「管理する」のが目的ではなく、「営業活動を支援する」ツールであることを認識しなくてはいけません。
近年、MRの業務だけでなく、医療機関も医療行政も大きく変化しています。
その変化に対応するために、現代のMRとして必要な新しいマーケティングを考えていきましょう。
新しい発想と工夫を日常のMR活動に活かす
「マーケティング」というと広告代理店の華やかな世界をイメージする人も多いようですが、実はけっこう地味な学問です。
書店の経営学コーナーにはマーケティングに関する書籍がたくさん並んでいます。
しかし、商学部・経営学部出身でマーケティングを専攻してきた人は別として、有名なマーケティング学者フィリップ・コトラーやジェローム・マッカーシーの著書を見ても、なかなか読破する気にはならないでしょう。
MRの皆さんに今からMBAを取得してください、といっているわけではありません。
マーケティングを学問としてとらえるのではなく、そのエッセンスを感じ取って、日常のMR活動に活かしてほしいのです。
○マーケティングの基本プロセス
市場調査 →→→ 戦略立案 →→→ マーケティング・ミックス
research targeting & positioning marketing mix
これは、マーケティングに関する書籍には必ず登場する基本プロセスです。
ただ、この理論を学習したところで、とてもMR活動に役立つとは思えません。
マーケティングの本を読んでも現実とはかけ離れており、理論では業績は上がりません。
しかし、各論のところどころにキラッと光るエッセンスが隠れており、新しい発想と工夫のヒントを見つけることができます。
「マーケティングなんて理論じゃ薬は売れないよ」
とおっしゃる方も、ぜひキラッと光る「発想と工夫」を実践してみてください。
iPad が売れる理由は「モノがいい」だけではありません。
ここにMRが参考にできるマーケティング理論が隠れています。
この薬はなぜ売れるのか?なぜ売れないのか?を考える視点を持つこと。
これがMRに必要なマーケティングの最初の視点です。
次回以降、「市場調査」や「戦略立案」を、どのようにMR活動に応用していくのか、順次解説していきます。