卸の中には、管理薬剤師や商品管理担当など、MSさん以外にも、さまざまな職制の方がいます。
MRの情報提供は、とかく医療機関にばかり向けられ、卸の関係者への情報提供はおろそかになりがち。
そのため、どの職制の人にどのような情報を提供すべきか、整理できないことがありませんか?
卸の関係者への情報提供も忘れないようにしましょう。
管理薬剤師の方への情報提供
DIの問い合わせはメーカーのコールセンターにだけ寄せられるわけではありません。卸の管理薬剤師の方にも頻繁に問い合わせがあります。添付文書の改訂など、安全性情報は必ずデポの管理薬剤師の方に伝えましょう。
問い合わせをされる先生方が、問い合わせ先をメーカーと卸とで使い分けている場合があります。
当然のことですが、メーカーのコールセンターの持つ情報はほぼ自社製品に限定していますが、卸の管理薬剤師の方は多くのメーカーの製品の情報を持っています。したがって、該当する製品の詳細情報はメーカーに、同種同効製剤全般に関する問い合わせは卸に確認するのです。
商品管理担当の方への情報提供
包装変更は当然のこと、発売案内、規格追加、効能追加、発売中止案内、添付文書に記載されている貯法の変更なども必ず伝えてください。
商品管理担当の方にはメーカー本社からの多くの情報が卸の本社経由で寄せられます。しかし、これでは不十分なのです。実際にMRが案内チラシの写真を提示しながら説明することが必要です。
MSさんへの情報提供
営業職であるMSさんには要点だけを説明し、文書で渡すべきか口頭だけでよいか指示を仰いでください。MSさんは一人ひとり情報の捉え方が違います。重要な情報であるかどうかはMSさん自身が決定します。
ただし、規格や包装の変更は商品管理の方だけでなく、MSさんにも必ず案内しましょう。
実際に納品して医療機関の先生方と接するのはMSさんです。外函が小さくなったとか、小包装ができたという情報は必ず伝えるべきです。これは、医療機関におけるMSさんの信用にもかかわることです。これを怠ると、MSさんとの信頼関係を失いかねません。
MSさんは先生の厚い信頼を得ています。MRと訪問頻度が違うということもありますが、先生が必要としている医薬品を供給しているという何よりの存在感があります。
開業医である先生に、あなたが説明した内容と同じ内容を卸のMSさんにしてもらうとどうでしょう?悔しいですが、間違いなくMSさんの説明の方が先生の印象に残ります。これは仕方がないことです。
競合するメーカーのMRとも接しているMSさんは、簡単に皆さんの味方になってくれるわけではありません。しかし信頼を得る必要があります。不信感を持たれるなどもってのほかです。
得意先である先生や卸のMSさんとの約束は、絶対に反故にできません。ところが、MRは約束したつもりはないのに、相手が約束と捉えていたために、後から無用なトラブルを起こしてしまうことがあります。この多くは、MRが曖昧な態度をとることに起因します。
必ず履行する自信がなければ「約束」はしてはいけません。また、「約束」は具体的でなくてはなりません。さらに期限を設ける時間軸の概念も必要です。
MSさんから「期首の合同会議資料を明日までに持ってきて」といわれたら、その場しのぎで安易に約束せず、「明日までにお持ちできる資料はターゲット先一覧表だけですがいかがでしょうか?」と具体的に内容と期限を提示すればよいのです。
その場を取り繕うために安易な約束をすると、結果的に信頼を失ってしまうことを肝に命じておいてください。