皆さんは、実際に納入されている自社製品(現品)を見たことがありますか?
写真では見たことがあるとしても、現品を見ないとピンとこないものです。
MSさんから、製品の開封方法やロット番号の記載場所について質問されたものの、よくわからなかったために不信感を持たれてしまった……そんな心当たりはありませんか?
MRが情報提供活動に専念する上で、MSさんのサポートは欠かせません。
では、MSさんとの信頼関係を築くために大事なことは、なんでしょうか?
まず自社製品の流通に関心を持つことです。
ここでは、医療用医薬品の流通について確認していきましょう。
医療用医薬品の流通
一般的に、生活必需品などの製造業者にとって営業活動の対象となる、いわゆる得意先は卸売業であり、卸売業者から売上代金を回収します。
しかし、MRは卸のMSさんだけでなく医師、薬剤師の先生方とも接します。また、MRは品物を運びませんし(一部では直販もあります)、売上代金の回収もしません。
MRが扱うものは、「医薬品情報」です。
これは、医療用医薬品が多種多品目であり、人の命に関わる(生命関連性)という特異性があるため、ことのほか「医薬品情報」が重視されているからです。
それだけに、MRは自社製品の知識だけでなく、医学・薬学の高度な専門知識や高い倫理観も必要になります。
また、「医薬品情報」の提供だけでなく、処方された自社医薬品の安全性情報を収集したり伝達したりすることもMRの業務となるのです。
下の図が医療用医薬品の流通です。MRの業務は、医療機関や調剤薬局の先生方への医薬品情報の提供、収集、伝達です。
卸に任せている配達業務(供給)と売上代金回収業務までMRが担うとするならば、とても情報提供活動に専念できるとは思えません。
当然のことですが、卸はメーカーから仕入れた価格(仕切価)から医療機関や調剤薬局へ販売した価格の差額(これを売差といいます)で利益を出し、さらにリベートやアロワンスといったメーカーからの割戻しもあります。
しかし、MRが情報提供活動に専念できることを、卸のMSさんに感謝する気持ちは持つべきだと思います。
医療用医薬品の供給には大きな責任があります。
他の商品と違い、最終消費者が患者さんであるため、供給の遅延は許されません。供給の重要性を知ることが、医薬品の流通を知ることといっていいでしょう。
医療用医薬品は多種多品目であり、その在庫管理は大変です。冷蔵保存を必要とする医薬品や、使用期限の短い医薬品もあります。
MRは包装変更や規格変更などの案内を、医療機関だけでなく、卸にもしなくてはなりません。
自社製品の普及を支援してもらうことだけを考えるのではなく、MSさんに提供すべき情報を決して忘れないでください。
MRは担当しているエリアの医療機関や調剤薬局すべてを訪問することはできません。そこで、MSさんのサポートを借りることになります。MSさんにも、説明会などで自社品を知ってもらう機会が頻繁にあります。
ただサポートのお願いをするだけでなく、卸の役割の重要性を認識し、MSさんの立場を考えた接し方を心がけましょう。