エビデンスを重視するタイプの先生の攻略法
ソーシャル・スタイルを用いて、「エビデンスを重視し、学会などにも積極的に参加するタイプの先生」の攻略法を考えてみましょう。
一般に4分割のソーシャル・スタイルで分類した場合、イノベーターでありマジョリティ指向のセルには全体の約50%が入るといわれています。しかし、医師という職業の特性を考えると、この割合はもう少し高いかもしれません。
「イノベーター&マジョリティ」タイプの先生は、エビデンスを重視し、学会・研究会・講演会にも積極的に参加します。また、e‐ディテールの活用にも積極的です。新しいものへの興味・関心が高く、情報収集への意欲が旺盛です。したがって、よほど忙しくなければMRとの面談はウェルカムです。
ところで、先生を訪問する前に想定問答を描き、実際にシナリオどおりにうまくいったことはありますか?
うまくいった面談後には思わずガッツポーズをしたくなります。
「イノベーター&マジョリティ」タイプの先生を訪問する場合は、正攻法で学術情報を提供することが基本です。
また、他剤との差別化に比較的寛容なため、クリアカットに数値を前面に出したディテールが好まれます。MRが示す学術資材への関心も高く、「レスポンスが高い先生」といえます。
ところが、いざ新規採用や処方となるとMRの期待どおりにうまくいかないことがあります。
このタイプの先生は、実はあなただけでなく競合するメーカーのMRにも同じような高いレスポンスを示します。あなたのディテールした製品が評価されていたから「レスポンスがよかった」とは限らないのです。
また、MRの情報に対する評価を教えてはくれません。「君の情報は客観性がなく信用できないな」と本心を明かしてくれることは、まずありません。ところがMRは、「ディテールを快く聞いてくれた=レスポンスがよかった=処方につながる」、と勘違いしてしまいがちです。
このタイプの先生の対応で競合するメーカーのMRに勝つためには、会社から提供される情報だけでは追いつきません。学会・講演会情報、医学雑誌からの最新知見など、新しい情報を常に提示して先生の「関心」を引き出し、これに基づいた「提案」を行わなくてはなりません。
また、うまく新規採用や処方の増量につながっても、その後のフォローも重要です。先生は常に他社メーカーのMRから新しい情報を吸収しています。目的を達成することができても、それがゴールではありません。
このタイプの先生を攻略する唯一方法は、「情報を提供し続けること」なのです。