情報の整理から対策が見えてくる
マーケティングでは、情報を整理するための思考パターンが重視されます。
「戦略」といっても、大げさに考えることはありません。日頃のMR活動で得た情報を整理して対策を考えるだけのことです。
先生のアルゴリズム(処方する薬剤の選択基準)を知るためには、まず自分が持っている情報を整理することからはじめましょう。
整理の方法は、パソコン上でも手書きのメモでもなんでもいいのです。
こうして整理して書き留めたものをじっくり眺めると、少しずつ対策が見えてきます。
これが「戦略」です。情報なくして戦略は生まれません。
先生のアルゴリズムが見えてくれば、戦略を立てることが非常に楽しくなります。
「このデータを提示すれば先生の役に立つだろう」、
「こういう使い方であれば患者さんにメリットがあるだろう」
…と、次から次へとアイデアが浮かびます。
ここで重要なことは、自分のためでなく患者さんや先生のために戦略を立てるというスタンスです。
情報整理の例を紹介します。
先生のアルゴリズムを、便宜的に「安全性」「相互作用」「人的信頼」で整理していますが、これが正解というフレームワークはありません。
自分で気づいた点はどんどん書きためていきましょう。
例) 山本先生のアルゴリズム
1. 安全性(副作用発現頻度)
高齢者対象の特定使用成績調査の詳細なデータ、また使用成績調査から肝臓と腎臓の安全性の高さを示す資料を提示しよう。
2. 相互作用
もう一度代謝について紹介する。
時間をかけて併用注意となっている薬剤とその根拠を説明しよう。
できれば、このテーマだけで説明をお願いしてみよう。
3. 人的信頼
開業当時から担当している○○卸さんのMSさんから客観的な評価を伝えてもらう。
備考:
日本人のデータを優先して情報提供する。患者さんのQOL改善になる情報を探してみる。
メモ:
○開業されて長いので、近所のお年寄りが多い。
○一人あたりの外来の時間が長い。雨の日、寒い日は外来が少ない。
○新薬があまり採用されていない。
○特定のMSさんを信頼している。
○何度も説明会の実施をお願いしたが断られた。
○海外の大規模臨床試験のデータを提示するも、あまりレスポンスはよくない。
○一度だけ受けた質問の内容は、薬物相互作用だった。
○何度も講演会の案内をしたが、来てもらえない。