MRの市場調査はどのように進めるべきでしょうか。
まずは「マーケティングの視点」を持つことがはじめの一歩です。
ここで言う「マーケティングの視点」とは、「なぜ売れるのか?」の視点で調査をすることです。
MRが市場調査で把握すべきことはなんでしょうか?
考えてみましょう。
現状把握だけでなく、今後の動向を考える
ひと昔前の市場調査は、医療機関の購入額、採用品目、病院であればベッド数などをMRが自分で調べてくることでした。しかし、近年は大きく状況が変わり、「調査」より「動向を把握すること」が重視されています。
この10年間でMRの仕事は大きく変わりました。
しかし、医療機関の方がはるかに変化しています。2003年にDPCが導入され、後発医薬品の使用が促進され、後期高齢者医療制度と特定健診・特定保健指導が始まり、さらに医療連携が進み…といった目まぐるしいほどの医療行政の変化への対応のために医療機関は悲鳴をあげています。
これからのMRは「今を調査すること」よりも「今後どうなるか」を把握しておかなくてはなりません。
この着眼点から、現代のMRが把握しておくべき事項を次のように整理してみました。
マーケティングの視点をMR活動に活かす、病院における確認事項
1.DPCとクリティカルパス導入状況
2.後発医薬品の使用について
3.平均在院日数
4.医療連携 紹介率・逆紹介率
5.救急患者受け入れ状況
マーケティングの視点をMR活動に活かす、診療所における確認事項
1.後発医薬品使用状況と先生の考え方
処方状況と処方せんに反映される変更可否記載
2.病診連携について
機関病院との連携、病院への紹介・逆紹介件数
3.ホームページの開設
4.健診施設との連携
ここまでの中で、把握していない単語があった方は要注意です。
目まぐるしく変わる医療制度の知識は、現在のMRにとって必須です。
MR個人のマーケティングとして、医療制度に関する知識は絶対に必要です。
例えば、病院担当MRであれば、自分の担当にDPC導入病院があれば、調整係数や機能評価係数は知っていて当然です。
また、平均在院日数や入院基本料なども病院の方向性を知る上で重要な指標となります。
クリティカルパス関連では、院内パスの数やパス大会なども知っておきたい情報です。
クリティカルパスの分野では専門用語がたくさん出てきます。アウトカム、バリアンス、ベンチマーク分析、オーバービュー形式と日めくり形式など、中途半端な知識ではなかなか先生と会話ができません。
ちなみに、クリティカルパスとクリニカルパスは文言としての意味は同じです。日本医療マネジメント学会で使われるのがクリティカルパス、日本クリニカルパス学会で使用されるのがクリニカルパスです。
以下に専門用語のいくつかを解説します。
■アウトカム
達成すべき臨床上の成果・目標。
■バリアンス
治療の過程で発生した計画との差異、逸脱例。
■ベンチマーク分析
たとえば入院日数と診療報酬との相関など、病院の経営分析における指標。病院の課題の把握とともに、病院の目標をはっきり示すのに有効な手法です。
■オーバービュー形式/日めくり形式
クリティカルパスは主にオーバービュー形式と日めくり形式に分けられます。前者は入院から退院までの診療計画を確認するもので、後者は日々の診療情報をより詳しく閲覧・記録できるものです。